九州大学 2002年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 指数・対数、積分、論証・証明
- 解法
- 微分による最大最小、定積分評価、不等式評価
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 —
問題
次の問いに答えよ.
(1) すべての正の実数x,yに対して,不等式xlogx−xlogy−x+y≧0が成り立つことを示せ.ここでlogは自然対数を表す.
(2) a,bは実数でa<bとする.関数f(x)とg(x)は閉区間[a,b]で正の値をとる連続関数で,∫abf(x)dx=∫abg(x)dxをみたす.このとき,不等式
∫abf(x)logf(x)dx≧∫abf(x)logg(x)dx
が成り立つことを示せ.
(3) a,bは実数でa<bとする.閉区間[a,b]で正の値をとる連続関数f(x)に対し正の実数MをM=b−a1∫abf(x)dxとする.不等式
b−a1∫abf(x)logf(x)dx≧MlogM
が成り立つことを示せ.
出典:九州大学 2002年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
方針
(1)は y を固定して左辺を x の関数と見て、導関数 log(x/y) から最小値を調べる。(2)は(1)に x=f(t)、y=g(t) を代入して積分し、∫f=∫g で余分な一次項を消す。(3)は g を平均値 M の定数関数に取れば、(2)がそのまま平均の不等式になる。
解答
(1)
y>0 を固定し、H(x)=xlogx−xlogy−x+y とおく。x>0 で H′(x)=logx+1−logy−1=logyx である。
したがって 0<x<y では H′(x)<0、x>y では H′(x)>0 である。よって H(x) は x=y で最小値をとる。その値は H(y)=ylogy−ylogy−y+y=0 である。したがって、すべての正の実数 x,y に対して xlogx−xlogy−x+y≧0 が成り立つ。
(2)
閉区間 [a,b] 上で f(t)>0、g(t)>0 である。任意の t に対して(1)を x=f(t),y=g(t) として用いると f(t)logf(t)−f(t)logg(t)−f(t)+g(t)≧0 である。
これを t=a から t=b まで積分すると
∫abf(t)logf(t)dt−∫abf(t)logg(t)dt−∫abf(t)dt+∫abg(t)dt≧0
となる。仮定より ∫abf(t)dt=∫abg(t)dt であるから、後ろの2項は打ち消し合う。したがって ∫abf(t)logf(t)dt≧∫abf(t)logg(t)dt が成り立つ。変数名を x に戻せば、求める不等式である。
(3)
定数関数 g(x)=M を考える。M の定義より ∫abg(x)dx=(b−a)M=∫abf(x)dx であるから、(2)を適用できる。
すると
∫abf(x)logf(x)dx≧∫abf(x)logM,dx
である。右辺は
∫abf(x)logM,dx=logM∫abf(x)dx=logM⋅(b−a)M
である。よって ∫abf(x)logf(x)dx≧(b−a)MlogM となり、両辺を b−a>0 で割って b−a1∫abf(x)logf(x)dx≧MlogM を得る。