九州大学 2001年度
理系数学 第5問(b)
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 指数・対数、積分、数列
- 解法
- 不等式評価、はさみうち、極限計算
- 難易度
- 7 / 10 計算量 6 / 10 目安 25〜30分
問題
(1) eを自然対数の底とし,
f(x)=ex−(1+x+21x2)
とおく.0<x<1においては0<f(x)<x3が成り立つことを示せ.またn→∞limn2f(n1)=0を示せ.必要であればe<3を使ってよい.
(2) 関数g(x)=exを考える.区間0≦x≦1をn個の小区間に等分して,各小区間を底辺,小区間の左端の点における関数g(x)の値を高さとする長方形の面積の和をKnとする.n→∞のとき,
が有限の値に収束するような最大の自然数kとそのときの極限値を求めよ.
出典:九州大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第5問(b)
方針
(1)は ex と2次式との差を、導関数の符号で評価する。下からの正値性は f′′(x)=ex−1>0 から、上からの x3 評価は h(x)=x3−f(x) を作り、h′′′(x)=6−ex>0 を使って示す。(2)では左端長方形和 Kn を等比数列で表し、e1/n=1+1/n+1/(2n2)+o(1/n2) に相当する評価を(1)から導く。誤差は (e−1)/(2n) 程度なので、最大の k は1になる。
解答
(1)
f(x)=ex−(1+x+21x2) とおく。f(0)=0 であり、f′(x)=ex−1−x,f′′(x)=ex−1 である。0<x<1 では f′′(x)>0 なので f′(x)>f′(0)=0 であり、さらに f(x)>f(0)=0 である。よって f(x)>0 である。
次に h(x)=x3−f(x) とおく。すると h(0)=h′(0)=h′′(0)=0 であり、h′′′(x)=6−ex である。0<x<1 では ex<e<3 としてよいから h′′′(x)>0 である。したがって h′′(x)>0、h′(x)>0、h(x)>0 が順に従う。よって f(x)<x3 である。以上より 0<f(x)<x3(0<x<1) が示された。 x=1/n とすると 0<n2f(n1)<n2⋅n31=n1 である。はさみうちの原理より limn→∞n2f(n1)=0 である。
(2)
左端を高さにする長方形和は Kn=n1∑j=0n−1ej/n である。これは等比数列の和なので Kn=n1⋅e1/n−1e−1=(e−1)e1/n−11/n である。一方 ∫01exdx=e−1 である。
(1)より、h=1/n とおくと eh=1+h+21h2+εn で、n2εn→0 である。すなわち εn=o(1/n2) である。したがって e1/n−1=n1+2n21+εn であり、e1/n−11/n=1+1/(2n)+nεn1 となる。ここで nεn→0 だから
1−e1/n−11/n=1+1/(2n)+nεn1/(2n)+nεn
である。両辺に n を掛けると n(1−e1/n−11/n)→21 である。
よって
n(∫01exdx−Kn)=(e−1)n(1−e1/n−11/n)→2e−1
である。極限値は正の有限値なので、k=1 では有限値に収束する。一方、k=2 では上の差にさらに n を掛けることになり無限大へ発散する。したがって最大の自然数は k=1 で、そのときの極限値は 2e−1 である。