東京大学 2016年度
理系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 指数・対数、微分、方程式・不等式
- 解法
- 不等式評価、微分による最大最小、極限計算
- 難易度
- 6 / 10 計算量 4 / 10 目安 18分
問題
eを自然対数の底,すなわちe=t→∞lim(1+t1)tとする。すべての正の実数xに対し,次の不等式が成り立つことを示せ。
(1+x1)x<e<(1+x1)x+21
出典:東京大学 2016年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問
方針
両側とも正の数の不等式なので,対数を取ってxlog(1+1/x)<1<(x+1/2)log(1+1/x)を示す。左側はu>0でlog(1+u)<uを微分により示す。右側はlog(1+u)>2u/(u+2)を,同じく差の導関数が正であることから示し,u=1/xを代入する。テイラー展開やロピタルは使わず,単調性だけで完結させる。
解答
すべての量は正なので,対数を取って示す。すなわち (1+x1)x<e は xlog(1+x1)<1 と同値であり,e<(1+x1)x+21 は 1<(x+21)log(1+x1) と同値である。
まずu>0に対して ϕ(u)=u−log(1+u) とおく。すると ϕ′(u)=1−1+u1=1+uu>0 であり,ϕ(0)=0である。したがってu>0で ϕ(u)>0 すなわち log(1+u)<u である。ここでu=1/xとすると log(1+x1)<x1 であるから xlog(1+x1)<1 である。よって (1+x1)x<e が成り立つ。
次にu>0に対して ψ(u)=log(1+u)−u+22u とおく。すると
ψ′(u)=1+u1−(u+2)24=(1+u)(u+2)2(u+2)2−4(1+u)=(1+u)(u+2)2u2>0
であり,ψ(0)=0である。したがってu>0で log(1+u)>u+22u である。u=1/xとすると
log(1+x1)>x1+22⋅x1=2x+12
である。よって
(x+21)log(1+x1)>(x+21)2x+12=1
である。したがって e<(1+x1)x+21 も成り立つ。
以上より,すべての正の実数xに対して (1+x1)x<e<(1+x1)x+21 である。
別解。右側の評価は,log(1+u)を直接近似するのではなく,2u/(u+2)との差を見るのが要点である。左側・右側ともに「差を作って微分し,0から増加する」とそろえると,証明全体が同じ型でまとまる。