東京大学 1994年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 積分、数列、関数
- 解法
- 漸化式の変形、極限計算、式変形、置換
- 難易度
- 8 / 10 計算量 6 / 10 目安 28分
問題
0<c<1とする。0≦x<1において連続な関数f(x)に対して
f1(x)=f(x)+∫0cf(t)dt,f2(x)=f(x)+∫0cf1(t)dt
とおく。以下,関数f3(x),f4(x),⋯を順次
fn(x)=f(x)+∫0cfn−1(t)dt(n=3,4,⋯)
により定める。また,
g(c)=∫0cf(t)dt
とし,n=1,2,3,⋯に対し
gn(c)=∫0cfn(t)dt
とおく。このとき,0<x<1を満たす任意のxに対し
xf(x)=g(x)+xn→∞limgn(x)
が成り立ち,さらにf(0)=1となるようなf(x)を定めよ。
出典:東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問
方針
まず上端を固定して,gn(c)だけの漸化式を作る。定義よりgn(c)=g(c)+cgn−1(c)となるので,0<c<1からlimn→∞gn(c)=g(c)/(1−c)を得る。これを条件式に代入し,x(1−x)f(x)=g(x)へ変形する。さらにg′(x)=f(x)を使い,x(1−x)g′(x)=g(x)を解く。割り算でg(x)の符号を仮定しなくてすむよう,(1−x)g(x)/xが一定であることを直接微分して示す。最後にf(0)=1から定数を決め,代入確認も行う。
解答
0<c<1を固定する。定義から
gn(c)=∫0cfn(t)dt=∫0c{f(t)+∫0cfn−1(u)du}dt
である。内側の積分はtによらない定数なので gn(c)=g(c)+c∫0cfn−1(u)du=g(c)+cgn−1(c) となる。
したがって gn(c)=g(c)(1+c+⋯+cn−1) であり,0<c<1より limn→∞gn(c)=1−cg(c) である。
問題の条件にc=xとしてこの極限を代入すると,0<x<1で xf(x)=g(x)+x1−xg(x)=1−xg(x) である。よって x(1−x)f(x)=g(x) を得る。
ここでg(x)=∫0xf(t)dtだからg′(x)=f(x)である。したがって x(1−x)g′(x)=g(x)(0<x<1) である。 0<x<1で H(x)=x1−xg(x) とおく。上の式を用いて微分すると
H′(x)=x1−xg′(x)−x21g(x)=x1−x⋅x(1−x)g(x)−x2g(x)=0
である。よってH(x)は定数であり,ある定数Cを用いて x1−xg(x)=C と書ける。すなわち g(x)=1−xCx である。
したがって f(x)=g′(x)=(1−x)2C である。f(0)=1よりC=1だから f(x)=(1−x)21(0≦x<1) である。
最後に確認する。このfに対して g(x)=∫0x(1−t)21dt=1−xx であるから,limn→∞gn(x)=1−xg(x)=(1−x)2x である。すると
g(x)+xn→∞limgn(x)=1−xx+(1−x)2x2=(1−x)2x=xf(x)
となり,確かに条件を満たす。