東京大学 1985年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 漸化式の変形、微分による最大最小
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 20〜30分
問題
a,bを実数とし,A=(aa−b0b)とおく.
(1) 行列An (n=1,2,⋯⋯)の表す一次変換による点P(21,0),Q(21,1),R(1,1)の像をそれぞれPn,Qn,Rnとし,fn=3PnQn2+2QnRn2+2RnPn2とおく.(ここで,CDは線分CDの長さを表す.)fnをa,bを用いて表せ.
(2) a=1.1,b=1.11であるとして,fnの値を最小にするような自然数nを求めよ.
出典:東京大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問
方針
帰納法で An を求め、3辺の差ベクトルから fn=2a2n+4b2n とし、差 fn+1−fn の符号で整数 n を決める。
解答
{(1)まず An を求める。主張は
An=(anan−bn0bn)
である。n=1 では明らかに成り立つ。ある n で成り立つとすると
(anan−bn0bn)(aa−b0b)=(an+1an+1−bn+10bn+1)
であるから,数学的帰納法によりすべての自然数 n で成り立つ。
一次変換では,2点間の差ベクトルも同じ行列で移される。もとの3点について
PQ=(01),QR=(1/20),RP=(−1/2−1)
である。
したがって
より PnQn2=b2n である。また
QnRn=AnQR=(an/2(an−bn)/2)
なので QnRn2=4a2n+(an−bn)2 である。さらに
RnPn=AnRP=(−an/2−(an+bn)/2)
だから RnPn2=4a2n+(an+bn)2 である。
よって
fn=3b2n+2⋅4a2n+(an−bn)2+2⋅4a2n+(an+bn)2=3b2n+a2n+2(an−bn)2+(an+bn)2=3b2n+a2n+a2n+b2n=2a2n+4b2n
である。
(2)
a=1.1,b=1.11 であるから r=1.12=1.21 とおくと fn=2rn+4r−n である。
差を調べる。
fn+1−fn=2rn(r−1)+4r−n(r−1−1)=(r−1)(2rn−4r−n−1)
である。r>1 なので,符号は 2rn−4r−n−1 の符号で決まる。すなわち fn+1−fn<0⟺r2n+1<2 である。
ここで r3=1.213=1.771561<2 なので f2−f1<0 である。一方 r5=1.215>2 なので f3−f2>0 である。さらに r2n+1 は n とともに増加するから,n≧2 では fn+1−fn>0 である。
したがって fn は n=2 まで減少し,その後増加する。よって n=2 のとき最小である。}