東北大学 1993年度
理系数学 前期 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)
- 解法
- 背理法、計算整理
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 15分
問題
行列A=(10a1) (a=0),E=(1001),N=An−E(nは自然数)について,次の問に答えよ.
(1) N2,(E+N)(E−N)を求めよ.
(2) E−Nが逆行列をもつことを示し,(E−N)−1を求めよ.
(3) 等式X2=Nを満たす行列X=(xzyw)は存在しないことを証明せよ.
出典:東北大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第1問
方針
まず An を帰納法または上三角行列の形から求め、N が右上成分だけをもつ行列であることを確認する。このとき N2=O なので、(E+N)(E−N)=E がすぐ従い、逆行列も決まる。最後は X2=N を成分比較し、右上成分が na=0 であることから x+w=0 を引き出して矛盾させる。
解答
(1)
まず
A=(10a1)
であるから、自然数 n について
An=(10na1)
である。これは n=1 では明らかで、n から n+1 への積でも右上成分が na+a=(n+1)a となるため、帰納法で示せる。
したがって
N=An−E=(00na0)
である。よって
N2=(0000)
である。また (E+N)(E−N)=E−N2=E である。
(2)
(1)より (E+N)(E−N)=E である。さらに行列の積の順序を逆にしても (E−N)(E+N)=E−N2=E である。したがって E−N は逆行列をもち、
(E−N)−1=E+N=(10na1)
である。
(3)
仮に
X=(xzyw)
が X2=N を満たすとする。成分を計算すると
X2=(x2+yzz(x+w)y(x+w)zy+w2)
である。これが
N=(00na0)
に等しいので x2+yz=0,y(x+w)=na, z(x+w)=0,zy+w2=0 が成り立つ。
ここで a=0 かつ n は自然数だから na=0 である。したがって y(x+w)=na=0 より x+w=0 である。すると z(x+w)=0 から z=0 である。
これを x2+yz=0、zy+w2=0 に代入すると x2=0,w2=0 であるから x=0,w=0 となる。すると x+w=0 となり、先ほど得た x+w=0 に矛盾する。
よって X2=N を満たす行列 X は存在しない。