九州大学 1987年度
理系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、図形と方程式、積分
- 解法
- 文字消去、座標設定、面積計算
- 難易度
- 6 / 10 計算量 6 / 10 目安 26〜32分
問題
曲線C:x2+xy+y2=k2 (k>0)と,行列A=(01−11)によって定義される1次変換fについて,次の問に答えよ.
(1) C上の任意の点P(x,y)に対して,Q=f(P)もC上の点であることを示せ.
(2) Cを適当な角θだけ回転することにより,だ円であることを示せ.
(3) Cの内部のうち,第1象限の部分の面積を求めよ.
出典:九州大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問
方針
(1) は変換後の座標を直接代入し、式 x2+xy+y2 が変わらないことを示す。(2) は u=(x+y)/2、v=(x−y)/2 という45度回転で平方項を整理し、標準形のだ円に直す。(3) は第1象限内で x=rcosθ、y=rsinθ とおいて半径の上限を求め、面積を 21∫r2dθ で計算する。別解として、全体のだ円の面積と (1) の面積保存を使う見方も確認できる。
解答
(1)
点 P(x,y) が変換 f によって点 Q(X,Y) に移るとする。行列から X=−y,Y=x+y である。したがって X2+XY+Y2=(−y)2+(−y)(x+y)+(x+y)2 である。右辺を展開すると y2−xy−y2+x2+2xy+y2=x2+xy+y2 となる。よって P が曲線 C 上にあるなら x2+xy+y2=k2 であり、同時に X2+XY+Y2=k2 も成り立つ。したがって Q も C 上の点である。
(2)
u=2x+y,v=2x−y とおく。これは座標軸を45度回転する変換である。このとき x2+y2=u2+v2,xy=2u2−v2 であるから x2+xy+y2=u2+v2+2u2−v2=23u2+21v2 となる。したがって曲線 C は 23u2+21v2=k2 すなわち 32k2u2+2k2v2=1 と書ける。これはだ円の標準形である。よって C はだ円である。
(3)
第1象限では
x=rcosθ,y=rsinθ,0≦θ≦2π
とおける。すると
x2+xy+y2=r2(cos2θ+sinθcosθ+sin2θ)=r2(1+21sin2θ)
である。したがって境界上では r2=1+21sin2θk2 である。
よって第1象限内の面積 S は S=21∫0π/21+21sin2θk2dθ である。ここで t=tanθ とおくと sin2θ=1+t22t,dθ=1+t2dt であり、θ が 0 から π/2 まで動くとき、t は 0 から ∞ まで動く。したがって
∫0π/21+21sin2θdθ=∫0∞t2+t+1dt
である。分母を平方完成すると t2+t+1=(t+21)2+43 だから
∫0∞t2+t+1dt=32[arctan32t+1]0∞=332π
である。よって
である。
別解。(2) の標準形から、だ円全体の面積は π⋅32k2⋅2k2=32πk2 である。(1) の1次変換は面積を保ち、正の x 軸上の点を正の y 軸上へ移す。この変換を繰り返すと、だ円の内部は同じ面積の6つの部分に分かれ、第1象限部分はその1つである。したがって面積は 61⋅32πk2=33πk2 となる。