問題
平行四辺形ABCDにおいて,∠ABC=6π,AB=a,BC=b,a≦bとする。次の条件を満たす長方形EFGHを考え,その面積をSとする。
条件:点A,B,C,Dはそれぞれ辺EF,FG,GH,HE上にある。ただし,辺はその両端の点も含むものとする。
(1) ∠BCG=θとするとき,Sをa,b,θを用いて表せ。
(2) Sのとりうる値の最大値をa,bを用いて表せ。
出典:東京大学 2025年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
解答
(1)
長方形の頂点は順に E,F,G,H とする。点 B は辺 FG 上,点 C は辺 GH 上にあるので,三角形 BCG は G を直角とする直角三角形である。∠BCG=θ,BC=b より CG=bcosθ,BG=bsinθ である。
次に,点 A は辺 EF 上にあるから,三角形 ABF も F を直角とする直角三角形である。∠ABC=π/6 であり,また三角形 BCG において ∠CBG=2π−θ である。点 B から見て BF は BG と反対向きなので,
∠ABF=π−6π−(2π−θ)=θ+3π
である。したがって
BF=acos(θ+3π),AF=asin(θ+3π)
である。
長方形の一方の辺の長さは FG=BF+BG=acos(θ+3π)+bsinθ である。また,平行四辺形の向かい合う辺は平行で長さが等しいので,C から H までの切り落とし部分は AF と同じ長さになり,GH=CG+CH=bcosθ+asin(θ+3π) である。
よって長方形 EFGH の面積 S は
S={bsinθ+acos(θ+3π)}{bcosθ+asin(θ+3π)}
である。
(2)
上の配置が成り立つためには,θ≧0 であり,さらに BF=acos(θ+3π)≧0 が必要である。したがって 0≦θ≦6π である。
(1)の式を展開する。
S=b2sinθcosθ+a2cos(θ+3π)sin(θ+3π)+ab{sinθsin(θ+3π)+cosθcos(θ+3π)}
である。最後の中括弧は
cos{θ−(θ+3π)}=cos3π=21
であるから,
S=2b2sin2θ+2a2sin(2θ+32π)+2ab
となる。さらに
sin(2θ+32π)=−21sin2θ+23cos2θ
より
S=42b2−a2sin2θ+43a2cos2θ+2ab
である。
ここで ϕ=2θ とおくと,0≦ϕ≦3π である。また A=42b2−a2,B=43a2 とおけば S=Asinϕ+Bcosϕ+2ab である。これは,単位ベクトル (cosϕ,sinϕ) とベクトル (B,A) の内積に ab/2 を加えたものと見られる。 a≦b なので A>0,B>0 である。ベクトル (B,A) の偏角を δ とすると tanδ=BA=3a22b2−a2 である。 a≦b≦2a のとき,31≦tanδ≦3 であるから 6π≦δ≦3π となり,0≦ϕ≦π/3 の範囲内で内積は最大値 A2+B2 をとる。よって
Smax=A2+B2+2ab=41(2b2−a2)2+3a4+2ab=21a4−a2b2+b4+2ab
である。
一方,b>2a のときは δ>π/3 である。この場合,許される範囲 0≦ϕ≦π/3 では,ϕ が δ に最も近い端点 ϕ=3π で最大となる。すなわち θ=π/6 のときである。このとき sinϕ=23,cosϕ=21 だから
Smax=42b2−a2⋅23+43a2⋅21+2ab=43b2+2ab
である。
以上より
Smax=⎩⎨⎧21a4−a2b2+b4+2ab43b2+2ab(a≦b≦2a),(b>2a)
である。
別解。最大化の部分は微分でも処理できる。S−ab/2=Asinϕ+Bcosϕ とおくと dϕd(Asinϕ+Bcosϕ)=Acosϕ−Bsinϕ である。内部で最大をとるなら tanϕ=BA=3a22b2−a2 を満たす。この解が 0≦ϕ≦π/3 に入る条件は b≦2a であり,そのとき最大値は A2+B2+ab/2 である。b>2a では臨界点が範囲の右外に出るため,端点 ϕ=π/3 で最大となり,同じ結果を得る。