東京大学 2024年度
理系数学 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 積分、微分、三角関数、指数・対数
- 解法
- 絶対値の処理、微分による最大最小、置換、定積分評価
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 20分
問題
次の関数f(x)を考える。
f(x)=∫011+t2∣t−x∣dt(0≦x≦1)
(1) 0<α<4πを満たす実数αで,f′(tanα)=0となるものを求めよ。
(2) (1)で求めたαに対し,tanαの値を求めよ。
(3) 関数f(x)の区間0≦x≦1における最大値と最小値を求めよ。必要ならば,0.69<log2<0.7であることを用いてよい。
出典:東京大学 2024年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問
方針
絶対値をt=xで分け,0≦t≦xとx≦t≦1に分解する。すると微分時に端点項が消え,f′(x)=2arctanx−π/4が得られる。(1)はx=tanαを代入して2α−π/4=0を解く。(2)は倍角公式からtan(π/8)を求める。(3)はf(x)自体を積分計算し,停留点と端点の値を比較する。最大値の端点比較では,π>3と与えられたlog2<0.7を使ってf(1)>f(0)を確認する。
解答
(1)
0≦x≦1に対し,絶対値をt=xで分けると f(x)=∫0x1+t2x−tdt+∫x11+t2t−xdt である。これをxで微分する。端点t=xでの被積分関数はどちらも0になるので,端点からの項は消え,f′(x)=∫0x1+t21dt−∫x11+t21dt である。よって f′(x)=arctanx−(4π−arctanx)=2arctanx−4π である。
x=tanαとすると,0<α<4πよりarctan(tanα)=αである。したがって f′(tanα)=2α−4π であり,これが0となるのは α=8π である。
(2)
u=tan8πとおく。0<8π<4πよりu>0である。倍角公式から tan4π=1−u22u=1 である。したがって 1−u2=2u すなわち u2+2u−1=0 である。u>0より u=−1+2 である。よって tanα=2−1 である。
(3)
まずf(x)を計算しておく。分割した式から
f(x)=x∫0x1+t2dt−∫0x1+t2tdt+∫x11+t2tdt−x∫x11+t2dt=xarctanx−21log(1+x2)+21{log2−log(1+x2)}−x(4π−arctanx)=x(2arctanx−4π)+21log2−log(1+x2)
である。
(1)より f′(x)=2arctanx−4π である。arctanxは増加関数なので,f′(x)=0となるのは x=tan8π=2−1 のときだけである。したがってf(x)は
する。よって最小値はx=2−1でとる。
このとき2arctanx−4π=0なので,f(2−1)=21log2−log{1+(2−1)2} である。ここで 1+(2−1)2=4−22 だから
f(2−1)=log2−log(4−22)=log4−222=log21+2
である。したがって最小値は log21+2 である。
最大値は端点で比較すればよい。式にx=0,1を代入すると f(0)=21log2,f(1)=4π−21log2 である。よって f(1)−f(0)=4π−log2 である。π>3より4π>0.75であり,問題文のlog2<0.7から 4π−log2>0.75−0.7>0 である。したがってf(1)>f(0)であり,最大値は 4π−21log2 である。