問題
行列が次の条件(D)を満たすとする。
(D) の成分,,,は整数である。また,平面上の4点,,,は,面積1の平行四辺形の4つの頂点をなす。
とおく。次の問いに答えよ。
(1) 行列とも条件(D)を満たすことを示せ。
(2) ならば,に,のどちらかを左から次々にかけることにより,4個の行列,,,のどれかにできることを示せ。
(3) とする。,の少なくともどちらか一方は,それをとすると
を満たすことを示せ。
方針
条件(D)は、2つの辺ベクトル 、 が作る平行四辺形の面積が1であることなので、成分が整数かつ と言い換えられる。(1)は左から 、 をかけた行列を直接計算し、整数性と行列式の絶対値が保たれることを示す。(2)は から を得て、 を左からかける操作が右上成分を に変えることを使う。(3)は第1列だけを見て、 の符号に応じて または の絶対値を小さくする。
解答
(1)
4点 が作る平行四辺形の2つの辺ベクトルは である。したがってその面積は である。よって条件(D)は、成分が整数であり、かつ であることと同値である。 は
である。直接計算すると
であり、
である。どちらも成分は整数である。
また であり、 である。したがってどちらの行列でも に対応する値は1のまま保たれる。よって と も条件(D)を満たす。
(2)
とする。このとき条件(D)より である。 は整数なので である。
整数 に対して
である。 なら を 回、 なら を 回左からかけることで が得られる。いま
である。 なので と選べば は整数であり、 となる。したがって
にできる。ここで はそれぞれ だから、得られる行列は
のいずれかである。
(3)
である。問題の不等式は第1列だけに関係するので、 と を比べればよい。
まず と が同符号のときを考える。このとき より である。したがって について となる。
次に と が異符号のときを考える。このとき である。したがって について となる。
以上より、、 の少なくともどちらか一方は を満たす。