問題
以下の問いに答えよ。
(1) 実数に対し,2次の正方行列,,が,5つの条件
をみたすとする。ただしである。このとき,が成り立つことを示せ。
(2) は正の数として,行列を考える。このに対し,(1)の5つの条件をすべてみたす行列,を求めよ。
(3) を2以上の整数とし,をみたす整数に対してとおく。行列の積を求めよ。
出典:東京大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問
方針
(1)は与えられた分解式に左から を掛け,,, をそのまま使う。(2)では なので は逆行列をもち,(1)から が従う。すると より ,続いて が一意に決まる。(3)では同じ によって と分解でき,積では 成分同士, 成分同士だけが残る。別解として,下三角行列の積の成分を漸化式で追っても検算できる。
解答
(1)
与えられた式より である。左から を掛けると
である。よって が成り立つ。
(2)
いま
であり, だから である。したがって は逆行列をもつ。
(1)より であるから,右から を掛けて を得る。これを に代入すると である。よって
であり,
である。
実際に が直接確認できるので,求める行列は
である。
(3)
(2)で得た は によらない。したがって
と表せる。
また であるから,積を展開したとき, だけを選ぶ項と だけを選ぶ項以外はすべて になる。よって
である。
これに を代入すると
である。
別解。(3)だけなら下三角行列の積として直接追える。 とおくと,対角成分は である。左下成分を とすると であり,帰納法で が得られる。 として同じ行列になる。