東北大学 2001年度
後期・理系数学 後期 第4問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 漸化式の変形、特性方程式、範囲評価
- 難易度
- 7 / 10 計算量 7 / 10 目安 —
問題
a,x,yは実数で,a<1,y<xとする.行列
A=(0−a1a+1),B=(1x1y),C=(x00y)
はAB=BCを満たすとする.
(1) Bをaを用いて表せ.
(2) B−1およびAn (n=1,2,3,⋯⋯)をaを用いて表せ.
(3) 数列{pn}を
p0=b,p1=c,(pnpn+1)=A(pn−1pn)(n=1,2,3,⋯⋯)
によって定める.{pn}が収束するためのa,b,cの条件を求めよ.また,そのときの極限n→∞limpnを求めよ.
出典:東北大学 2001年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第4問
方針
AB=BC は、B の第1列・第2列がそれぞれ A によって x 倍・y 倍されることを意味する。これにより x,y は2次方程式 λ2−(a+1)λ+a=0 の2解になり、条件 a<1,y<x から x=1,y=a。その後は An=Bdiag(1,an)B−1 の形で求め、数列の収束は an の挙動で場合分けする。
解答
(1)
B の列ベクトルに注目する。AB=BC より
A(1x)=x(1x),A(1y)=y(1y)
である。
一般に
A(1λ)=(λ−a+(a+1)λ)
である。これが
λ(1λ)=(λλ2)
に等しいためには λ2−(a+1)λ+a=0 でなければならない。この方程式は (λ−1)(λ−a)=0 である。 a<1 かつ y<x より、大きい方が x、小さい方が y である。したがって x=1,y=a となり、
B=(111a)
である。
(2)
B=(111a)
より、a<1 だから a−1=0 であり、
B−1=a−11(a−1−11)
である。
(1)の関係から
AB=B(100a)
である。両辺の右から B−1 を掛けると
A=B(100a)B−1
であるから、これを n 回掛ければ
An=B(100an)B−1
である。右辺を計算すると
An=(111a)(100an)a−11(a−1−11)=a−11(11anan+1)(a−1−11)=a−11(a−ana−an+1−1+an−1+an+1).
である。
(3)
定義より
(pnpn+1)=An(bc)
である。したがって(2)から
pn=a−1(a−an)b+(−1+an)c=1−ac−ab+a−1an(c−b)
である。
まず −1<a<1 のとき、an→0 であるから、任意の実数 b,c について pn は収束し n→∞limpn=1−ac−ab である。
次に a≦−1 のとき、an は0に収束しない。したがって pn が収束するためには、an の係数が0であること、すなわち c−b=0 が必要である。これは十分でもあり、このとき pn=b がすべての n で成り立つ。よって a≦−1, b=c のときに限り収束し、その極限は b である。
以上をまとめると、収束条件は −1<a<1 なら b,c は任意 または a≦−1 なら b=c である。
別解。(3)は漸化式から直接求めてもよい。行列の定義から pn+1=(a+1)pn−apn−1 である。定数列と an はこの漸化式を満たすので、pn=u+van の形を考える。初期条件 p0=b,p1=c より u+v=b,u+av=c である。これを解くと v=a−1c−b,u=1−ac−ab となるので、pn=1−ac−ab+a−1an(c−b) を得る。以後の収束判定は上と同じである。