東京科学大学 2026年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程
- 対象
- 全学院
- 分野
- 複素数平面、数列、図形と方程式
- 解法
- 複素数の極形式、図形的解釈、回転・拡大、漸化式の変形、計算整理
- 難易度
- 8 / 10 計算量 8 / 10 目安 25〜30分
問題
i を虚数単位とする。実数 θ に対して複素数 e(θ) を e(θ)=cosθ+isinθ で定める。正の整数 n に対し,複素数平面上の点 e((n−1)π/3) と点 e(nπ/3) を通る直線を ln とする。複素数 z に対し,直線 ln に関して点 z と対称な位置にある点を表す複素数を Rn(z) とする。
(1) 複素数 z と共役な複素数を z とする。このとき,Rn(z)=e(θ1)z+3e(θ2) をみたす実数 θ1,θ2 をそれぞれ n を用いて表せ。
(2) 実数 a,b に対して,z1=a+bi,zn+1=Rn(zn) (n=1,2,3,…) で定められる複素数の列 {zn} の一般項を求めよ。
出典:東京科学大学 2026年度 前期日程 理系 第4問
方針
(1)では,直線 ln の中点と方向角を求める。方向角 ϕ=(n+1)π/3 の直線に関する反射は,直線上の点 w を用いて w+e(2ϕ)z−w と書ける。(2)は (1) の式を用いて zn を z1 または z1 の一次式として追跡し,係数と定数項の6周期を整理する。
解答
(1)
直線 ln は,単位円上の偏角 (n−1)π/3 と nπ/3 の2点を結ぶ弦である。その中点を wn とすると,弦の中心方向の偏角は 21(3n−1π+3nπ)=62n−1π であり,弦の中点までの距離は cos(π/6)=3/2 である。したがって wn=23e(62n−1π) である。また直線 ln の方向角はこれに π/2 を加えた ϕn=3n+1π である。
方向角 ϕn の原点を通る直線に関する反射は z を e(2ϕn)z に移す。したがって,点 wn を通る直線 ln に関する反射は
Rn(z)=wn+e(2ϕn)z−wn=e(2ϕn)z+wn−e(2ϕn)wn
である。ここで 2ϕn=32(n+1)π であり,また wn−e(2ϕn)wn=3e(62n−1π) となる。よって,例えば θ1=32(n+1)π,θ2=62n−1π とすればよい。
(2)
(1)より
zn+1=e(32(n+1)π)zn+3e(62n−1π)
である。この式を順に用いると,m=0,1,2,… に対して次の形が得られる。
z6m+1z6m+2z6m+3z6m+4z6m+5z6m+6=a+(b−33m)i,=e(34π)(a−bi)+23(3m+1)+2(1−3m)3i,=e(32π)(a+bi)+23(3m+1)+2(3m+1)3i,=a−bi−23+2(6m+3)3i,=e(34π)(a+bi)−23(3m+2)+2(3m+2)3i,=e(32π)(a−bi)−23(3m+2)−2(3m+4)3i.
これが求める一般項である。
例えば第1式から第2式への移行を確認すると,z6m+2=R6m+1(z6m+1) であり,R6m+1(z)=e(4π/3)z+3e((12m+1)π/6) である。ここに z6m+1=a+(b−33m)i を代入すると,表示した z6m+2 が得られる。また最後の式から次の第1式への移行も,R6m+6=R6 を代入すると z6(m+1)+1=a+(b−33(m+1))i となる。これらと同様の成分計算で中間の4箇所も確認できる。
以下,この式が確かに成り立つことを確認する。m=0 のとき,上の6式は z1 から z6 までを漸化式で直接計算したものと一致する。さらに (1) の式は n を n+6 に替えても同じ反射を表すので,6個進めた後は同じ6本の直線に関する反射を同じ順に繰り返す。上の6式を漸化式に代入すると,z6m+j から z6m+j+1 (j=1,2,…,5) がそれぞれ次の式に移り,また z6m+6 は z6(m+1)+1 に移る。よって数学的帰納法により,すべての m≧0 で上の表示が成り立つ。