大阪大学 1991年度
理系数学 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、図形と方程式
- 解法
- 恒等式比較、計算整理、図形的解釈
- 難易度
- 4 / 10 計算量 4 / 10 目安 12分
問題
原点を通らない直線l:y=px+1と原点を通る直線l′:y=qxとがある.行列A=(acbd)によって表される1次変換fはl上の点をl′上の点に移すものとする.A2が零行列でないとき,fによるl′の像はl′であることを示せ.
出典:大阪大学 1991年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問
方針
直線 l 上の点を (x,px+1) とおき,それを A で移した点が常に l′:y=qx 上にある条件を x の恒等式として比較する。定数項から d=qb,係数比較から c=qa が出るので,A の第2行は第1行の q 倍になる。そこから A2=(a+qb)A を示し,A2=0 により a+qb=0 として,l′ 上の任意の点が再び l′ 上の任意の点として得られることを示す。
解答
直線 l:y=px+1 上の点は (x,px+1) と表される。これを A で移すと
A(xpx+1)=((a+bp)x+b(c+dp)x+d)
である。この点が常に直線 l′:y=qx 上にあるから,すべての実数 x について (c+dp)x+d=q{(a+bp)x+b} が成り立つ。
定数項を比較して d=qb である。また x の係数を比較すると c+dp=q(a+bp) である。ここへ d=qb を代入して c+qbp=qa+qbp となるので c=qa を得る。したがって
A=(aqabqb)
である。
この形を用いて A2 を計算する。
A2=(aqabqb)(aqabqb)
であり,成分を計算すると
A2=(a2+qabqa2+q2abab+qb2qab+q2b2)=(a+qb)(aqabqb)
である。よって A2=(a+qb)A が成り立つ。
もし a+qb=0 ならば A2=(a+qb)A=0 となり,A2 は零行列になる。仮定では A2 は零行列でないから a+qb=0 である。
いま l′ 上の点は (x,qx)=x(1,q) と書ける。これを A で移すと
A(xqx)=x(a+qbqa+q2b)=x(a+qb)(1q)
である。これは l′ 上の点である。
さらに a+qb=0 なので,t(1,q) という l′ 上の任意の点に対して x=a+qbt と選べば
A(xqx)=t(1q)
となる。したがって,f により l′ から得られる点全体は l′ である。