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名古屋大学 2008年度
理系数学 第1問

問題

を実数として,とする.行列と単位行列に対して, (ただしは零行列) とする.

(1) を用いて表せ.

(2) 方程式が少なくとも1つ正の解を持つとき、のとりうる値の範囲を求めよ.

出典:名古屋大学 2008年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問

方針

まず行列 が満たす2次関係 を計算し, の一次結合で表す。条件式に代入すれば の係数と の係数がともに0となり, で決まる。すると ともう1つの2次式に因数分解される。前者は実数解を持たないので,正の解の存在は後者 の正根条件に帰着する。

解答

(1)

まず について計算する。

より

である。したがって が成り立つ。よって であり, である。

これらを条件 に代入すると, である。 の係数と の係数をまとめると となる。もし なら,左上成分と右上成分を見ることで が分かる。したがって である。これを解いて を得る。

(2)

(1)より である。この式は

と因数分解できる。実際,右辺を展開すると になる。

ここで であるから,これは実数解を持たない。したがって が正の解を持つことは, が正の解を持つことと同値である。

この2次方程式の2解の積は で正である。よって実数解を持ち,かつ2解の和 が正であれば,2解はいずれも正である。逆に正の解を少なくとも1つ持つなら,積が正であるためもう一方の解も正であり,2解の和も正でなければならない。

したがって必要十分条件は である。前者は であり,後者は であるから,両方を満たす範囲は である。 のときは となり,正の解 を持つので端点も含まれる。

別解。(2)で正の解を とする。実数解は第2因子から来るので である。 で割ると となる。左辺は で常に 以上だから,,すなわち が必要である。逆に なら であり, は正の範囲で 以上の値をすべてとるので正の解が存在する。よって同じく である。