名古屋大学 1996年度
理系数学 第4問(b)
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 微分、積分、関数
- 解法
- 数学的帰納法、増減表、存在証明
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 18分
問題
f0(x)=1,f1(x)=1−x,⋯,fn(x)=1−x+2!x2−3!x3+⋯+n!(−1)nxn,⋯
とおく.このとき,次を示せ.
(1) n≧1のとき,fn′(x)=−fn−1(x)である.
(2) x≧0とするとき,nが偶数ならfn(x)≧e−x,奇数ならfn(x)≦e−xが成立する.
(3) nが奇数のとき,fn(x)=0はx≧0の範囲でただ1つの解をもつ.
出典:名古屋大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問(b)
方針
(1)は定義式を項別に微分し,添字を1つ下げて fn′(x)=−fn−1(x) を示す。(2)は gn(x)=fn(x)−e−x とおき,gn(0)=0,gn′(x)=−gn−1(x) を使って符号が偶奇で交互に変わることを帰納的に示す。(3)は n が奇数なら n−1 が偶数であることから fn−1(x)>0 を得て,fn が単調減少すること,さらに fn(0)>0 かつ大きい x で負になることを合わせて,解がただ1つであると結論する。
解答
(1)
n≧1 とする。定義より fn(x)=∑k=0nk!(−1)kxk である。これを微分すると
fn′(x)=k=1∑nk!(−1)kkxk−1=k=1∑n(k−1)!(−1)kxk−1
である。ここで j=k−1 とおくと fn′(x)=∑j=0n−1j!(−1)j+1xj=−fn−1(x) となる。
(2)
gn(x)=fn(x)−e−x とおく。すべての n について gn(0)=fn(0)−1=0 である。また(1)より gn′(x)=fn′(x)+e−x=−fn−1(x)+e−x=−gn−1(x) である。
まず g0(x)=1−e−x≧0(x≧0) である。ある n−1 について gn−1(x)≧0 が x≧0 で成り立つなら,gn′(x)=−gn−1(x)≦0 であり,gn(0)=0 だから x≧0 で gn(x)≦0 となる。逆に gn−1(x)≦0 なら gn′(x)≧0 であり,gn(0)=0 から gn(x)≧0 となる。
したがって符号は n の偶奇で交互に変わり,x≧0 において n が偶数なら gn(x)≧0,n が奇数なら gn(x)≦0 である。すなわち
n が偶数なら fn(x)≧e−x,n が奇数なら fn(x)≦e−x
である。
(3)
n を奇数とする。このとき n−1 は偶数であるから,(2)より fn−1(x)≧e−x>0(x≧0) である。したがって(1)から fn′(x)=−fn−1(x)<0(x≧0) であり,fn(x) は x≧0 で狭い意味で単調減少である。
また fn(0)=1>0 である。一方,n は奇数なので fn(x) の最高次の項は −n!xn であり,x が十分大きくなると他の項を上回って fn(x)<0 となる。よって連続性により x≧0 に少なくとも1つの解がある。
さらに fn は x≧0 で単調減少であるから,解は2つ以上存在しない。したがって fn(x)=0 は x≧0 の範囲でただ1つの解をもつ。