過去問データベース 過去問を探す

名古屋大学 1988年度
理系数学 第1問

問題

を満たす2次の正方行列とする.ただし,は零行列,の各成分は実数とする.このとき,次の(1),(2)を証明し,(3)に答えよ.

(1)

(2) , ならば,である.
ただし,の行と列とを入れ換えた行列,の行と列とを入れ換えた行列である.すなわち,とするとき,である.

(3) が(2)の条件を満たさないときは,必ずしもが成り立たないことを例をあげて示せ.

出典:名古屋大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問

方針

とおき、 に直して非可換な積の順序を保ったまま展開する。与式は と同値になるので、(1)の3次式に現れる をこの関係で置き換えて消去する。(2)では が転置しても変わらないとき も同じ性質をもつこと、また は転置で符号が反対になることを使い、最後は2次対称行列 の成分から を示す。 (3)は でも条件を満たす具体例を作ればよいので、2乗すると零行列になる非対称な行列を 、零行列を に選ぶ。

解答

(1)

とおく。すなわち である。与えられた条件に代入すると である。左辺を順序に注意して展開すると であるから を得る。

次に、示すべき式を で表す。非可換なので通常の二項展開のようにまとめず、順序を保って計算すると

である。ここで より であり、また である。さらに なので である。これらを代入すると

となる。したがって である。

(2)

とする。 とおくと である。また (1) の初めで得たように である。

左辺 は転置しても変わらない。一方、 だから である。したがって は転置しても変わらず、同時に転置で符号が反対になる。よって である。

ここで の成分を と書く。 の左上成分と右下成分を見ると である。実数の平方の和が0なので である。したがって 、すなわち である。

(3)

(2)の条件を外すと、 は必ずしも成り立たない。実際、 の成分を とし、 とする。この は転置しても変わる行列なので、(2)の条件を満たさない。

また、この については である。したがって と合わせると を満たす。しかし明らかに である。よって (2) の条件がない場合には、必ずしも は成り立たない。