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名古屋大学 1986年度
理系数学 第4問(b)

問題

に対して,は整数を座標とする点の上を動くとし,からへの移動は,毎回,1,2,3,4の番号札の入っている箱から1つをとり,1ならば上へ,2ならば下に,3ならば左へ,4ならば右へ,1の長さを動くとする.原点から出発する.

(1) とするとき,確率変数の期待値を求めよ.

(2) とするとき,確率変数の期待値であることを示せ.

出典:名古屋大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問(b)

方針

(1)は3回の移動を全 通りで分類する。同方向3回なら距離 ,同方向2回とそれに垂直な1回なら距離 ,それ以外は距離 になるので,それぞれの通り数を数える。(2)は一回の移動ベクトル の平均が ,長さの二乗が であることを使い, を展開して条件付きに期待値を取る。交差項が消える理由を明記する。

解答

(1)

3回の移動は各回4通りなので,全部で 通りである。距離ごとに分類する。

3回とも同じ向きに進むと,原点からの距離は である。この場合は 通りである。

次に,2回が同じ向きで,残り1回がそれに垂直な向きの場合を考える。このとき移動後の座標は,向きを取り直せば 型なので,距離は である。通り数は,同じ向きに進む方向が4通り,垂直な方向が2通り,垂直な1回を入れる位置が3通りなので 通りである。

残りの場合を確認する。2回が同じ向きで残り1回が反対向きなら距離は ,3回の向きが同じでなく,互いに打ち消す一組を含む場合も距離は ,三つの異なる方向に進む場合も合成すると距離は である。したがって残り 通りは距離 である。

よって

である。

(2)

回目から 回目への移動を とする。上,下,左,右が同じ確率で起こるので である。 とすると であるから,展開して となる。

ここで,次の移動 は現在位置 とは独立であり, である。したがって現在位置を固定して考えると であり,また である。よって を得る。初めは原点なので であるから,帰納法により である。

別解。(2)は 回の移動ベクトルを と見ると, である。 はこの和の長さの二乗なので,展開すると各 の長さの二乗が 個出る。異なる回どうしの内積は,向きの平均が であるため期待値が になる。したがって期待値は である。