問題
定積分について述べた次の文章を読んで,後の問いに答えよ。
区間で連続な関数に対して,となる関数を1つ選び,のからまでの定積分を
で定義する。定積分の値はの選び方によらずに定まる。定積分は次の性質(A),(B),(C)をもつ。
(A)
(B) のとき,
(C) 区間においてならば,
ただし,は区間で連続な関数,は定数である。
以下,を区間で連続な増加関数とし,を自然数とする。定積分の性質 [ ア ] を用い,定数関数に対する定積分の計算を行うと,
が成り立つことがわかる。とおくと,不等式(2)と定積分の性質 [ イ ] より次の不等式が成り立つ。
よって,はさみうちの原理よりが成り立つ。
(1) 関数が微分可能であるとき,
が成り立つことを,導関数の定義に従って示せ。また,この等式と定積分の定義(1)を用いて,定積分の性質(A)でとした場合の等式
を示せ。
(2) 定積分の定義(1)と平均値の定理を用いて,次を示せ。
のとき,区間においてならば,
(3) (A),(B),(C)のうち,空欄 [ ア ] に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また文章中の下線部の内容を詳しく説明することで,不等式(2)を示せ。
(4) (A),(B),(C)のうち,空欄 [ イ ] に入る記号として最もふさわしいものを1つ選び答えよ。また,不等式(3)を示せ。
方針
理系版では,まず導関数の定義から和の微分公式を示す必要がある。その後は定積分の定義に戻り, が の原始関数であることを利用して性質(A)の特別な場合を証明する。(2) は原始関数に平均値の定理を適用し, と表す。(3)(4) は文中の区分求積の証明で,増加関数を小区間の端点値で挟み,性質(C)で積分評価にし,最後に性質(B)で全区間の積分へつなげる。
解答
(1)
導関数の定義に従うと
である。
次に , とする。上で示した等式より であるから, は の原始関数である。したがって定積分の定義から
を得る。
(2)
となる関数 を取る。 は で連続, で微分可能であるから,平均値の定理により,ある が存在して が成り立つ。ここで であり, より である。したがって である。
(3)
空欄 [ア] に入るのは である。 は増加関数なので, では である。左右は定数関数であり,定数 に対して
である。性質(C)を用いれば
となり,不等式(2)が示される。
(4)
空欄 [イ] に入るのは である。
(2) の不等式を で足し合わせる。性質(B)により
であるから
を得る。したがって左側の不等式から である。また右側の不等式から
である。右辺は望遠和になり,
である。よって が成り立つ。