問題
数直線上に2点X1,X2を取り,それぞれの座標をa1およびa2とする。ただし,0<a1<a2とする。線分X1X2をs:1−sに内分する点をX3,線分X2X3をs:1−sに内分する点をX4,同様に自然数kに対して線分XkXk+1をs:1−sに内分する点をXk+2とする。ただし,0<s<1とする。このとき,以下の問いに答えよ。
(1) 2点X2n−1,X2nの座標を並べてベクトル(a2n−1a2n)で表し,
(a2n+1a2n+2)=A(a2n−1a2n)
と書くとき,行列Aをsを用いて表せ。ただし,nは自然数である。
(2) 行列Pを
P=(1s−111)
とし,行列BをB=P−1APとする。行列Bを求めよ。
(3) 座標a2n+1およびa2n+2をn,s,a1,a2を用いて表せ。
(4) 点Xkの座標akの極限k→∞limakを求めよ。
出典:九州大学 2012年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第5問
解答
(1)
線分 XkXk+1 を s:1−s に内分する点が Xk+2 であるから、座標について ak+2=(1−s)ak+sak+1 が成り立つ。
したがって a2n+1=(1−s)a2n−1+sa2n であり、さらに a2n+2=(1−s)a2n+sa2n+1 である。第2式に第1式を代入すると a2n+2=s(1−s)a2n−1+{1−s+s2}a2n となる。
よって
(a2n+1a2n+2)=(1−ss(1−s)s1−s+s2)(a2n−1a2n)
であるから
A=(1−ss(1−s)s1−s+s2)
である。
(2)
P=(1s−111)
であり、detP=1−(s−1)=2−s である。0<s<1 だから 2−s=0 であり、P は逆行列をもつ。
計算すると
AP=((1−s)2−(1−s)311)=P((1−s)2001)
である。したがって
B=P−1AP=((1−s)2001)
である。
(3)
(1)(2)より
(a2n+1a2n+2)=An(a1a2)=PBnP−1(a1a2)
である。
まず
P−1=2−s1(11−s−11)
であるから
P−1(a1a2)=2−s1(a1−a2(1−s)a1+a2)
である。また
Bn=((1−s)2n001)
である。
したがって
(a2n+1a2n+2)=2−s1(1s−111)((1−s)2n(a1−a2)(1−s)a1+a2)
である。よって a2n+1=2−sa2+(1−s)a1+(1−s)2n(a1−a2), a2n+2=2−sa2+(1−s)a1−(1−s)2n+1(a1−a2) である。
(4)
0<s<1 だから 0<1−s<1 である。したがって (1−s)2n→0,(1−s)2n+1→0 である。(3)の式から、奇数番目も偶数番目も同じ値に収束し、limk→∞ak=2−sa2+(1−s)a1 である。
別解。(3)(4)については、隣り合う差を直接追ってもよい。dk=ak+1−ak とおくと dk+1=ak+2−ak+1=(1−s)ak+sak+1−ak+1=−(1−s)dk である。したがって dk={−(1−s)}k−1(a2−a1) である。これを足し合わせれば、ak は収束し、その極限Lは漸化式の極限として L=(1−s)L+sL だけでは決まらないが、保存される量 ak+1+(1−s)ak に注目するとよい。実際、ak+2+(1−s)ak+1=(1−s)ak+sak+1+(1−s)ak+1=(1−s)ak+ak+1 で一定である。よって極限をLとすると (2−s)L=a2+(1−s)a1 となり、同じく L=2−sa2+(1−s)a1 を得る。