過去問データベース 過去問を探す

九州大学 2011年度
後期・理系数学 後期 第2問

問題

以下の問いに答えよ。

(1) 原点のまわりの角の回転移動を表す行列をとする。回転によって点に移されるもとの点を求めよ。

(2) 原点を通り,傾き の直線をとする。
また,点を直線に関して対称移動した点をとする。このとき,およびを用いて表し,この移動を表す行列を求めよ。

(3) 軸に関する対称移動を表す行列をとする。
このとき,となることを示せ。

(4) とする。
2つの行列の積はある角の回転移動を表すことを示せ。また3つの行列の積によって表される移動は決して回転移動を表さないことを示せ。

出典:九州大学 2011年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第2問

方針

(1)は回転後の点から角 だけ戻す。(2)は直線方向の単位ベクトルと垂直方向の単位ベクトルに分解し、直線に関する対称移動で垂直成分だけ符号が変わることを使う。(3)は 軸対称をいったん行い、それを角 だけ回転した座標系に移す計算として行列積を確認する。(4)は2つの反射の積が回転行列になることを成分計算で示し、3つの反射の積は再び反射型の行列になり、回転行列の形とは一致しないことを成分比較で示す。

解答

(1)

の回転によって に移されるので、 を角 だけ回転した点である。したがって

である。よって である。

(2)

直線 の方向の単位ベクトルを とし、それに垂直な単位ベクトルを とする。点 の位置ベクトルは である。 方向と 方向に分けると である。直線 に関する対称移動では、 方向成分はそのままで、 方向成分だけ符号が変わる。したがって である。

これを成分で計算すると であり、 である。よってこの移動を表す行列は

である。

(3)

軸に関する対称移動を表す行列は

である。また

である。したがって

である。これを計算すると

となる。

(4)

(2)の結果を用いて計算する。加法定理により

である。これは角 の回転移動を表す行列である。

次に、これに を掛けると

となる。

これがある角 の回転移動を表すと仮定すると

である。左上成分と右下成分を比べると となるので である。一方、右上成分と左下成分を比べると となるので である。これは が同時に0になることを意味し、不可能である。したがって は決して回転移動を表さない。

別解。幾何的には、 は原点を通る直線に関する対称移動である。2つの対称移動を続けると、2つの対称軸のなす角の2倍だけ回転する移動になる。一方、3つの対称移動は「回転の後に対称移動」を行う形になるので、向きを反転する移動であり、向きを保つ回転移動にはならない。これは上の行列計算で得た反射型の行列と一致している。