九州大学 2010年度
後期・理系数学 後期 第5問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 積分、指数・対数
- 解法
- 置換積分、和の計算、極限計算
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 18分
問題
n,Nを正の整数とする。以下の問いに答えよ。
(1) kを正の定数とし,関数f(x)はf(x)=f(x+k)をみたすとする。このとき,
Tn=∫k(n−1)kne−xf(x)dx,SN=n=1∑NTn
とおく。TnとSNをT1で表せ。
(2) (1)においてf(x)≧0とする。このとき,k以上の実数zに対して
Sn≦∫0ze−xf(x)dx<SN+1
が成立するようなNを求めよ。さらに,この不等式を用いて極限z→∞lim∫0ze−xf(x)dxが存在することを示し,この極限をT1で表せ。
(3) h(x)=e−x∣cosπx∣とする。y=h(x),x軸,y軸およびx=zで囲まれた部分の面積をV(z)とおく。z→∞limV(z)を求めよ。
出典:九州大学 2010年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第5問
方針
周期関数fと指数関数e−xの積なので,長さkごとの区間積分は毎回e−k倍される。(2)ではzを含む区間番号Nを選び,f≧0から部分和で積分をはさむ。最後はh(x)=e−x∣cosπx∣をe−xf(x)の形に見てk=1を適用し,T1だけを絶対値で区間分割して計算する。
解答
(1)
Tnでx=u+k(n−1)とおくと,uは0からkまで動く。fは周期kをもつので f(u+k(n−1))=f(u) である。したがって
Tn=∫0ke−(u+k(n−1))f(u+k(n−1))du=e−k(n−1)∫0ke−uf(u)du=e−k(n−1)T1
である。よって
SN=T1{1+e−k+e−2k+⋯+e−k(N−1)}=1−e−k1−e−kNT1
である。
(2)
z≧kに対し,kN≦z<k(N+1) を満たす整数N,すなわち N=⌊kz⌋ をとる。このときf(x)≧0よりe−xf(x)≧0であるから,積分区間の包含関係から
∫0kNe−xf(x)dx≦∫0ze−xf(x)dx<∫0k(N+1)e−xf(x)dx
である。左辺と右辺はそれぞれSN,SN+1なので SN≦∫0ze−xf(x)dx<SN+1 である。
z→∞のときN→∞であり,(1)より SN→1−e−kT1,SN+1→1−e−kT1 である。したがってはさみうちにより z→∞lim∫0ze−xf(x)dx=1−e−kT1 である。
(3)
h(x)=e−x∣cosπx∣であり,f(x)=∣cosπx∣ とおけば,fは周期1をもつ非負関数である。したがって(2)をk=1で用いれば,求める極限は 1−e−1T1 である。
ここで T1=∫01e−x∣cosπx∣dx を計算する。0≦x≦1/2ではcosπx≧0,1/2≦x≦1ではcosπx≦0である。また
∫e−xcosπxdx=1+π2e−x(−cosπx+πsinπx)
である。よって
T1=∫01/2e−xcosπxdx−∫1/21e−xcosπxdx=1+π21−e−1+2πe−1/2
である。したがって
z→∞limV(z)=(e−1)(1+π2)e−1+2πe
である。