九州大学 2008年度
後期・理系数学 後期 第5問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 微分、積分、指数・対数
- 解法
- 増減表、絶対値の処理、定積分評価
- 難易度
- 8 / 10 計算量 7 / 10 目安 —
問題
関数f(x) (x≧−1)を
f(x)=⎩⎨⎧1+xlog(1+x)1−xlog(1−x)(x≧0)(−1≦x<0)
と定める。以下の問いに答えよ。なお,自然対数の底をeとし,必要ならば2<e<3であることを用いてよい。
(1) f(x)の増減を調べよ。また,f(x)の最大値および最小値を求めよ。
(2) 実数aに対して,S(a)=∫−1e−1∣f(x)−a∣dxとおく。0≦a≦e1におけるS(a)の最小値を与えるaの値を求めよ。
出典:九州大学 2008年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第5問
方針
(1)は左右の定義を別々に微分し,−1≦x<0 では 1−x≦2<e,x≧0 では 1+x と e の大小で増減を読む。(2)は x=−u とおくと左半分が 0≦u≦1 の右側関数と同じ形になることを使い,重み付きの絶対値積分に直す。f(t)=a となる位置 t を用い,a を少し動かしたときの符号付き長さの差から最小条件を求める。
解答
(1)
−1≦x<0 では f(x)=1−xlog(1−x) であり,微分すると f′(x)=(1−x)2log(1−x)−1 である。この範囲では 1<1−x≦2<e なので log(1−x)−1<0 であり,f は [−1,0) で減少する。 x≧0 では f′(x)=(1+x)21−log(1+x) である。したがって 0<x<e−1 で増加,x=e−1 で極大,x>e−1 で減少する。
値は f(0)=0,f(e−1)=e1,f(−1)=2log2 である。関数 logt/t は 1<t<e で増加するので,2<e より log2/2<1/e である。よって最小値は 0 で,これは x=0 で取る。最大値は e1 で,これは x=e−1 で取る。
(2)
0≦u≦1 について f(−u)=log(1+u)/(1+u)=f(u) である。そこで 0≦x≦e−1 の関数 ϕ(x)=1+xlog(1+x) を用いると,S(a)=2∫01∣ϕ(x)−a∣dx+∫1e−1∣ϕ(x)−a∣dx と書ける。ϕ は [0,e−1] で増加する。 0≦a≦1/e に対して,ϕ(t)=a となる t がただ1つ存在する。まず 0≦t≦1 の場合を考える。a を少し増やしたとき,ϕ(x)<a の部分は積分値を増やし,ϕ(x)>a の部分は積分値を減らす。重みを考えると dadS=2t−{2(1−t)+(e−2)}=4t−e である。したがって dtdS=(4t−e)ϕ′(t) となる。0<t<1 では ϕ′(t)>0 なので,この範囲での最小は t=4e のときである。2<e<3 より 0<e/4<1 だから,確かにこの場合に含まれる。
次に 1<t≦e−1 では,同じ考え方により dadS={2+(t−1)}−{(e−1)−t}=2t+2−e である。ここでは t>1 かつ e<3 なので 2t+2−e>0 となり,最小点は現れない。
したがって求める a は t=e/4 に対応する値で,
a=ϕ(4e)=1+e/4log(1+e/4)=4+e4log44+e
である。