九州大学 2007年度
理系数学 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 数学的帰納法、漸化式の変形、和の計算
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 20分
問題
pを0<p<1を満たす数とし,行列A,B,Cをそれぞれ
A=(1−11−1),B=(1011+p),C=(0−1−p−10)
とおく.さらに,行列An (n=1,2,3,⋯)をA1=A,An+1=AnB−BAn+C (n=1,2,3,⋯)で定める.このとき,次の問いに答えよ.
(1) A2,A3を求めよ.
(2) An=(ancnbndn),Δn=andn−bncnとおくとき,n→∞limΔnを求めよ.
出典:九州大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問
方針
(1)は定義通りに A2=A1B−BA1+C,A3=A2B−BA2+C を計算する。(2)は(1)から,左上・左下・右下は一定で,右上だけが 1+p+⋯+pn−1 になる形を予想し,帰納法で示す。An の形が決まれば,Δn=andn−bncn は右上成分から1を引いた等比和になり,0<p<1 で極限をとる。
解答
(1)
まず A2=AB−BA+C を計算する。
AB=(1−12+p−2−p),BA=(0−1−p0−1−p)
であるから
A2=(1−12+p−2−p)−(0−1−p0−1−p)+(0−1−p−10)=(1−11+p−1)
である。
次に A3=A2B−BA2+C である。
A2B=(1−11+(1+p)2−2−p),BA2=(0−1−pp−1−p)
なので
A3=(1−11+p+p2−1)
である。
(2)
(1)から
An=(1−1Sn−1),Sn=1+p+p2+⋯+pn−1
と予想できる。n=1 では S1=1 であり,これは A1=A と一致する。
いま
An=(1−1Sn−1)
と仮定する。このとき
AnB=(1−11+(1+p)Sn−2−p)
であり,
BAn=(0−1−pSn−1−(1+p)Sn)
である。したがって
An+1=AnB−BAn+C=(1−11+(1+p)Sn−(Sn−1)−1−2−p+(1+p)Sn)+(0000)
と整理される。右上成分は 1+pSn=1+p(1+p+⋯+pn−1)=1+p+⋯+pn であり,右下成分も −2−p+(1+p)Sn=−1 となる。よって
An+1=(1−11+p+⋯+pn−1)
である。帰納法により,すべての n で
An=(1−11+p+⋯+pn−1−1)
が成り立つ。
したがって
Δn=andn−bncn=1⋅(−1)−(1+p+⋯+pn−1)(−1)=p+p2+⋯+pn−1
である。0<p<1 より
n→∞limΔn=n→∞lim(p+p2+⋯+pn−1)=1−pp
である。