北海道大学 2004年度
理系数学 前期 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)
- 解法
- 式変形、必要十分条件、文字消去
- 難易度
- 7 / 10 計算量 7 / 10 目安 25分
問題
Aを2次の正方行列A=(acb−a)(ただし,bc=0),kを実数とする.行列X=(xzy−x)について等式XA−AX=kA……(*)を考える.ただし,行列の成分は,すべて実数とする.
(1) k=0のとき,(*)を満たすXはAの実数倍であることを示せ.
(2) k=0のとき,(*)を満たすXが存在するための必要十分条件はA2=O(ただし,Oは零行列)であることを示せ.このとき,(*)を満たすXでz=cであるものを求めよ.
出典:北海道大学 2004年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第2問
方針
まず XA−AX を成分計算し、x,y,z に関する3本の一次方程式にする。(1) では k=0 としてその解空間を調べ、bc=0 を使って x,y,z が同じ実数倍でそろうことを示す。(2) では3本の式をうまく足し合わせて k(a2+bc)=0 を導き、k=0 から a2+bc=0、すなわち A2=O を得る。逆向きでは A2=O を仮定し、指定された z=c から x,y を順に決めて、残りの式も満たすことを確認する。
解答
まず成分計算を行う。
X=(xzy−x),A=(acb−a)
であるから、
XA−AX=(−bz+cy2az−2cx−2ay+2bxbz−cy)
である。したがって XA−AX=kA は
−bz+cy=ka,(1)
−2ay+2bx=kb,(2)
2az−2cx=kc(3)
と同値である。
(1)
k=0 とする。このとき (1),(2),(3) は cy=bz,bx=ay,az=cx である。bc=0 より、b=0、c=0 である。 y=tb とおくと、cy=bz より z=tc である。また bx=ay より bx=a(tb) なので x=ta である。したがって
X=(tatctb−ta)=tA
となる。よって、(∗) を満たす X は A の実数倍である。
(2)
まず k=0 とし、(∗) を満たす X が存在すると仮定する。(1) に a を掛けた式、(2) に c/2 を掛けた式、(3) に b/2 を掛けた式を加えると、左辺は a(−bz+cy)+2c(−2ay+2bx)+2b(2az−2cx)=0 である。一方、右辺は ka+2ckb+2bkc=k(a2+bc) である。したがって 0=k(a2+bc) である。k=0 だから a2+bc=0 を得る。
一方、
A2=(acb−a)2=(a2+bc00a2+bc)
である。したがって a2+bc=0 は A2=O と同値である。これで必要性が示された。
逆に A2=O とする。このとき a2+bc=0 である。bc=0 なので、ここから a=0 も分かる。条件 z=c を満たす解を求める。(3) に z=c を代入すると 2ac−2cx=kc であり、c=0 より 2a−2x=k である。したがって x=a−2k である。
次に (2) に代入すると −2ay+2b(a−2k)=kb である。これを整理して −2ay=2b(k−a) だから y=ab(a−k) である。a2+bc=0 より b/a=−a/c なので、y=ca(k−a) とも書ける。
以上より、z=c である解は
X=a−2kcca(k−a)−a+2k
である。最後に (1) を確認すると、z=c、上の x,y、および a2+bc=0 を用いて確かに −bz+cy=ka が成り立つ。したがって十分性も示された。