北海道大学 2001年度
理系数学 前期 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 複素数平面、行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)
- 解法
- 実部虚部比較、式変形、数学的帰納法
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 —
問題
ω=2−1+3iとおく.ただし,iは虚数単位である.
(1) 実数a,b,c,dに対してa+bω=c+dωが成り立つとき,a=cかつb=dであることを示せ.
(2) 実数x,yに対して,実数s,tをs+tω=ω(x+yω)によって定めるとき,(st)=A(xy)となる2次の正方行列Aを求めよ.
(3) n=1,2,3,⋯のとき,上のAに対してA2+E3nを求めよ.ただし,Eは単位行列である.
出典:北海道大学 2001年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第1問
方針
(1)は 1 と ω の実係数表示の一意性を虚部・実部比較で示す。(2)は ω2=−1−ω を使って、ω(x+yω) を 1,ω の係数に戻す。(3)は行列 A を「ω 倍する操作」と見て、A2+E が「−ω 倍する操作」であることから冪を求める。直接行列計算でも確認できる。
解答
(1)
ω=2−1+3i である。a+bω=c+dω とすると (a−c)+(b−d)ω=0 である。虚部を比べると (b−d)23=0 だから b=d である。これをもとの式に戻すと a=c である。したがって a=c,b=d が示された。
(2)
ω は1の3乗根で 1+ω+ω2=0 をみたすので ω2=−1−ω である。したがって
ω(x+yω)=xω+yω2=xω+y(−1−ω)=−y+(x−y)ω.
s+tω=ω(x+yω) であり、(1)より表示は一意であるから s=−y,t=x−y である。よって
(st)=(01−1−1)(xy)
となる。したがって
A=(01−1−1)
である。
(3)
(2)より、行列 A は x+yω を ω(x+yω) に移す操作を表す。したがって A2 は ω2 倍する操作を表し、E は1倍する操作を表す。
ゆえに A2+E は ω2+1=−ω を掛ける操作に対応する。したがって (A2+E)3n は (−ω)3n=(−1)3nω3n=(−1)n を掛ける操作に対応する。実数 (−1)n を掛ける操作の行列は (−1)nE であるから (A2+E)3n=(−1)nE である。
別解。実際に
A2=(−1−110),A2+E=(0−111)
である。さらに直接掛けると (A2+E)3=−E となる。したがって (A2+E)3n={(A2+E)3}n=(−E)n=(−1)nE を得る。