東京大学 1999年度
理系数学 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 複素数平面、数列、指数・対数
- 解法
- 漸化式の変形、範囲評価、極限計算、計算整理
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 18分
問題
複素数zn (n=1,2,⋯)をz1=1,
zn+1=(3+4i)zn+1
によって定める。ただしiは虚数単位であり,また,複素数z=x+iy(x,yは実数)に対して,∣z∣を
で定義する。
(1) すべての自然数nについて
43⋅5n−1<∣zn∣<45n
が成り立つことを示せ。
(2) 実数r>0に対して,∣zn∣≦rを満たすznの個数をf(r)とおく。このとき,
r→+∞limlogrf(r)
を求めよ。
出典:東京大学 1999年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問
方針
漸化式は一次式なので、まず等比数列の和として明示式を作る。a=3+4i とおくと zn=1+a+⋯+an−1=(an−1)/(a−1) であり、∣a∣=5、∣a−1∣=25 である。三角不等式で ∣an−1∣ を上下から評価し、問題の定数に合わせて不等式を整える。(2)は(1)から ∣zn∣ がほぼ 5n に比例して増えることを使い、∣zn∣≦r を満たす n の個数が logr/log5 と定数差しかないことを示す。
解答
(1)
a=3+4i とおく。漸化式は zn+1=azn+1,z1=1 であるから、帰納的に zn=1+a+a2+⋯+an−1 である。したがって zn=a−1an−1 である。
ここで ∣a∣=∣3+4i∣=5,∣a−1∣=∣2+4i∣=25 だから ∣zn∣=25∣an−1∣ である。
まず下から評価する。三角不等式より ∣an−1∣≧∣an∣−1=5n−1 である。よって ∣zn∣≧255n−1 である。これが 43⋅5n−1 より大きいことを確認する。両辺を正の数で割り、整理すると 255n−1>43⋅5n−1 は 2(5n−1)>355n−1 と同値である。n=1 では 8>35 であり成り立つ。n≧2 では左辺と右辺の比はさらに大きくなるので、同じ不等式が成り立つ。したがって 43⋅5n−1<∣zn∣ である。
次に上から評価する。三角不等式より ∣an−1∣≦∣an∣+1=5n+1 である。したがって ∣zn∣≦255n+1 である。 n=1 では z1=1 だから ∣z1∣=1<45 である。n≧2 では 2+5n2≦2+252<5 であるから 255n+1<45n が成り立つ。よって ∣zn∣<45n である。以上より、すべての自然数 n について 43⋅5n−1<∣zn∣<45n が示された。
(2)
(1)より、∣zn∣≦r なら 43⋅5n−1<r である。したがって 5n−1<34r より n<1+log5log(4r/3) である。よって f(r) はこの右辺をこえることはない。
一方、45n≦r ならば、(1)より ∣zn∣<r である。したがって n≦log5log(4r) を満たす自然数 n はすべて f(r) に数えられる。
以上から、f(r) は log5logr と高々定数差しかない。すなわち、ある定数 C が存在して、十分大きい r に対して f(r)−log5logr≦C である。両辺を logr で割り、r→+∞ とすると定数差は消えるので r→+∞limlogrf(r)=log51 である。
別解。漸化式の固定点を使ってもよい。w=aw+1 を満たす w は w=−a−11 である。したがって zn+1−w=a(zn−w) となり、zn−w=an−1(z1−w) である。これを整理すると同じく zn=a−1an−1 が得られる。一次漸化式では、この固定点への差を見る方法も有効である。