東京大学 1994年度
文系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、ベクトル、三角関数
- 解法
- ベクトル成分計算、不等式評価、範囲評価
- 難易度
- 6 / 10 計算量 4 / 10 目安 18分
問題
0<a≦1に対し,行列
A=(1111+2a)
を考える。
のとき,ベクトルAuの長さ∣Au∣について,次の不等式が成り立つことを示せ。
ただし0≦θ≦2πとする。
出典:東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第3問
方針
Aを(1+a)I+Bに分けると,Buの長さがθによらず1+a2になる。この一定長を利用し,三角不等式と逆向きの三角不等式で∣Au∣を上下から挟む。上側はa≦1からすぐ2+2へ落とす。下側は1+a−1+a2を(2−2)aと比較し,両辺が正であることを確認してから平方して示す。別解として,∣Au∣2を直接展開し,三角関数の最大最小で同じ評価を得ることもできる。
解答
I=(1001),B=(−a11a)
とおくと A=(1+a)I+B である。u=(cosθ,sinθ)と書くと
Bu=(−acosθ+sinθcosθ+asinθ)
であるから
∣Bu∣2=(−acosθ+sinθ)2+(cosθ+asinθ)2=1+a2
である。また∣u∣=1である。
まず三角不等式より
∣Au∣=∣(1+a)u+Bu∣≦(1+a)∣u∣+∣Bu∣=1+a+1+a2
である。0<a≦1より1+a≦2,1+a2≦2なので ∣Au∣≦2+2 を得る。
次に逆向きの三角不等式より ∣Au∣≧(1+a)∣u∣−∣Bu∣=1+a−1+a2 である。あとは 1+a−1+a2≧(2−2)a を示せばよい。これは 1+(2−1)a≧1+a2 と同値であり,両辺は正である。平方して比べると {1+(2−1)a}2−(1+a2)=2(2−1)a(1−a)≧0 となるから,確かに成り立つ。
以上より (2−2)a≦∣Au∣≦2+2 である。
別解。 ∣Au∣の大きさを直接調べることもできる。
Au=(cosθ+sinθcosθ+(1+2a)sinθ)
であるから,整理すると ∣Au∣2=(1+a)2+(1+a2)+2(1+a){−acos2θ+sin2θ} である。任意のθに対して −1+a2≦−acos2θ+sin2θ≦1+a2 が成り立つので {1+a−1+a2}2≦∣Au∣2≦{1+a+1+a2}2 である。平方根をとれば,先ほどと同じ上下評価が得られる。