東京大学 1990年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理科一類・理科二類・理科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、図形と方程式、関数
- 解法
- 回転・拡大、面積計算、極限計算
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 —
問題
行列
M=1+a211+a2a−1+a2a1+a21
に対し,点列 Pn=(xn,yn) を P0=(1,0),Pn=MPn−1 により定める。
(1) a が正の実数を動くとき,△P0P1P2 の面積を最大にする a の値を求めよ。
(2) a を(1)で求めた値とする。△P0P1P2,△P1P2P3,⋯,△PnPn+1Pn+2 の和集合として表される図形の面積を Sn とするとき,limn→∞Sn を求めよ。
出典:東京大学 1990年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問
方針
行列 M は、平面上の点を複素数で見ると、一定の倍率で縮小しながら一定角だけ回転する操作である。Pn は等比的に並ぶので、(1)は 1,λ,λ2 の三角形の面積を a の式にして最大化する。(2)は a=3 のとき相似比が 21、回転角が60度になり、各三角形の面積が公比 41 の等比数列になることを使う。
解答
(1)
点 (x,y) を複素数 z=x+yi と見る。行列 M による変換は z↦λz,λ=1+a21+ai で表される。したがって P0=1,P1=λ,P2=λ2 である。
三角形 P0P1P2 の面積は
で求められる。これを計算すると [△P0P1P2]=2(1+a2)2a3 である。
よって F(a)=2(1+a2)2a3(a>0) の最大を求めればよい。微分すると F′(a)=2(1+a2)3a2(3−a2) である。したがって 0<a<3 で増加し、a>3 で減少するので、最大となるのは a=3 である。
(2)
a=3 のとき
λ=41+3i=21(cos3π+isin3π)
である。つまり、各点は前の点を原点のまわりに60度回転し、さらに長さを 21 倍した位置にある。
したがって三角形 △PnPn+1Pn+2 は、△P0P1P2 を相似比 (21)n で縮小し、回転したものである。面積比はその2乗なので、各三角形の面積は
[△PnPn+1Pn+2]=[△P0P1P2](41)n
である。隣り合う三角形は辺を共有するだけで内部は重ならず、全体は原点へ向かって巻くように並ぶ。
(1)での最大面積は [△P0P1P2]=2(1+3)2(3)3=3233 である。よって
Sn=3233(1+41+421+⋯+4n1)
である。したがって
n→∞limSn=3233⋅1−411=83
である。