東京大学 1985年度
文系数学 第1問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 文科一類・文科二類・文科三類
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、ベクトル
- 解法
- 図形的解釈、内積の利用、面積計算
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 15〜22分
問題
a,bはa2+b2=0なる実数とし,A=a2+b21(a2ababb2),I=(1001)とおく.行列A3,(I−A)2の表す一次変換による点P(x,y)の像を,それぞれQ,Rとする.ただし,Q,RはいずれもPと一致しないものとする.
(1) ∠QPRの大きさを求めよ.
(2) △PQRの面積をa,b,x,yを用いて表せ.
出典:東京大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第1問
方針
行列 A が (a,b) 方向への正射影を表すことをまず確認する。すると A2=A,(I−A)2=I−A となり,点 P は互いに垂直な2つの成分 Q,R に分解される。角は PQ=−R,PR=−Q から直角と分かる。面積は2つの射影成分の長さを掛ければよい。
解答
(1)
u=(ab)
とおく。条件より u=0 である。与えられた行列は A=a2+b21uuT であり,これは点の位置ベクトルを u の方向へ正射影する一次変換である。
実際,
A2=(a2+b2)21u(uTu)uT=a2+b21uuT=A
である。したがって A3=A,(I−A)2=I−2A+A2=I−A である。
点 P(x,y) の位置ベクトルを p とすると q=Ap,r=(I−A)p であり,p=q+r である。また A(I−A)=A−A2=0 だから,q と r は直交する。問題の条件より Q=P,R=P なので,r=0,q=0 であり,角はきちんと定まる。
ここで
である。q⊥r だから ∠QPR=90∘ である。
(2)
Q は (a,b) 方向への射影であるから,その長さは OQ=a2+b2∣ax+by∣ である。また (a,b) に垂直な方向として (−b,a) を取ると,R の長さは OR=a2+b2∣−bx+ay∣=a2+b2∣ay−bx∣ である。
(1)
より △PQR は P を直角とする直角三角形であり,PQ=OR,PR=OQ である。したがって面積を S とすると
S=21PQ⋅PR=21OR⋅OQ=2(a2+b2)∣(ax+by)(ay−bx)∣
である。