問題
実数, に対して,で定められる行列を考える.
(1) を平面上のでないベクトルとするとき,ベクトルの大きさの比を,を使って表せ.
(2) 行列の集合が有限集合となるとき,は回転の行列であることを示せ.ただし,は単位行列を表すものとする.
(3) が2個の要素からなるように,を定めよ.
方針
この行列は、どのベクトルも同じ倍率 で長さを変え、同じ角だけ向きを変える形である。(1)で倍率を求め、(2)では有限個のべきの中に同じものが現れることから、ある正の整数乗が単位行列になると見る。すると倍率のべきが1になるので倍率は1であり、回転行列になる。(3)は回転を2回で単位行列に戻す条件を調べる。
解答
(1)
とおく。ただし である。このとき であるから となる。右辺を展開すると である。したがって である。
(2)
なので であり、 は逆行列をもつ。集合 が有限なら、ある整数 について である。両辺に の逆行列を掛けると となる。
(1)より、 を1回作用させるとベクトルの長さは 倍になる。したがって では長さの倍率が でなければならない。 だから である。よって となるので、ある実数 を用いて と書ける。したがって
であり、これは原点のまわりの回転を表す行列である。
(3)
要素が2個であるためには、 かつ でなければならない。(2)より は回転行列であるから、回転角を とすると、 は が1回転の整数倍であることを意味する。さらに だから、回転角は半回転である。すなわち である。よって である。
別解。 の作用を、平面上の点 を に移す操作として見ると、(1)からすべての点の原点からの距離は同じ倍率で変わる。もし倍率が1でなければ、同じ点に を順に作用させたときの原点からの距離が無限に多くの値を取る。有限集合になるには倍率が1しかありえず、このとき行列は回転行列である。