東京工業大学 2006年度
理系数学 第1問
- 試験区分
- 前期
- 対象
- 全類
- 分野
- 三角関数、積分、方程式・不等式、論証・証明
- 解法
- 定積分評価、置換、不等式評価、誘導利用、場合分け
- 難易度
- 5 / 10 計算量 4 / 10 目安 15分
問題
以下の問いに答えよ。
(1) 自然数 n に対し,I(n)=∫02nπ∣sinx∣dx を求めよ。
(2) 次の不等式を示せ。
0≦∫02sπcosxdx−s≦(2π−1)s(0≦s≦1)
(3) a を正の数とし,a を超えない最大の整数を [a] で表す。[a] が奇数のとき次の不等式が成り立つことを示せ。
0≦∫02π∣sinat∣dt−1≦(2π−1)(1−a[a])
出典:東京工業大学 2006年度 前期 理系 第1問
方針
(1)は長さ π ごとに ∣sinx∣ の積分が 2 になることと,半周期分の積分が 1 になることから偶奇に分けて求める。(2)は ∫0sπ/2cosxdx=sin(sπ/2) に直し,sinu≦u と,区間 0≦u≦π/2 における弦の下からの評価を使う。(3)は n=[a],s=a−n とおき,n が奇数であることから余りの部分の積分を (2) の形に帰着する。
解答
(1)
∣sinx∣ は周期 π をもち,∫0π∣sinx∣dx=2,∫0π/2sinxdx=1である。したがって n=2k のとき I(n)=2k=n,n=2k+1 のとき I(n)=2k+1=n である。ゆえに I(n)=n である。
(2)
∫0sπ/2cosxdx=sin(sπ/2) である。u=sπ/2 とおくと 0≦u≦π/2 である。曲線 y=sinu はこの区間で上に凸であるから,両端 (0,0),(π/2,1) を結ぶ線分より上にあり,sinu≧2u/π=s である。また sinu≦u より sin(sπ/2)−s≦(π/2−1)s である。以上より求める不等式が成り立つ。
(3)
n=[a],s=a−n とおくと,n は奇数で 0≦s<1 である。x=at と置換すると
∫02π∣sinat∣dt=a1∫02aπ∣sinx∣dx
である。
n が奇数なので,0≦u≦sπ/2 に対して∣sin(nπ/2+u)∣=cosuである。したがって (1) より
∫02aπ∣sinx∣dx=n+∫02sπcosudu
である。よって
∫02π∣sinat∣dt−1=a1(∫02sπcosudu−s)
となる。(2)を用いれば
0≦∫02π∣sinat∣dt−1≦a1(2π−1)s=(2π−1)(1−an)
である。n=[a] だから,これは示すべき不等式である。