東京工業大学 2002年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期
- 対象
- 全類
- 分野
- 数列、微分、関数
- 解法
- 極限計算、はさみうち、不等式評価、誘導利用
- 難易度
- 8 / 10 計算量 7 / 10 目安 30分
問題
n を自然数とする。
(1) 極限 limn→∞logn1(1+21+31+⋯+n1) を求めよ。
(2) 関数 y=x(x−1)(x−2)⋯(x−n) の極値を与える x の最小値を xn とする。このとき xn1=1−xn1+2−xn1+⋯+n−xn1 および 0<xn≦21 を示せ。
(3) (2)の xn に対して,極限 limn→∞xnlogn を求めよ。
出典:東京工業大学 2002年度 前期 理系 第4問
方針
(1)は 1/x の積分との比較で調和級数を logn ではさむ。(2)は多項式 p(x)=x(x−1)⋯(x−n) に対し,平均値の定理で最小の極値点が (0,1) にあることを確認し,p′(x)/p(x) から方程式を得る。範囲 xn≦1/2 は左辺と右辺の差の単調性で示す。(3)は得た方程式の右辺を調和級数と比較し,差が有界であることから極限を出す。
解答
(1)
Hn=1+21+31+⋯+n1 とおく。1/x の単調減少性より,log(n+1)=∫1n+1xdx≦Hn≦1+∫1nxdx=1+logn である。これを logn で割ると,両端はいずれも 1 に近づくから,limn→∞lognHn=1 である。
(2)
p(x)=x(x−1)(x−2)⋯(x−n) とおく。p(x) は 0,1,2,…,n を根にもつので,平均値の定理により各区間 (j−1,j) に p′(x)=0 となる点が少なくとも1つある。p′(x) は n 次式なので,これら n 個が p′(x) の零点のすべてである。したがって極値を与える点のうち最小のものは (0,1) にある。
0<x<1 で p′(x)=0 なら,p(x)=0 であるから,p(x)p′(x)=x1+x−11+x−21+⋯+x−n1=0 である。これを x=xn に適用して移項すると,xn1=1−xn1+2−xn1+⋯+n−xn1 を得る。
次に G(x)=x1−(1−x1+2−x1+⋯+n−x1) とおく。0<x<1 で G′(x)=−1/x2−{1/(1−x)2+⋯+1/(n−x)2}<0 なので G(x) は単調減少であり,x が 0 に近づくと G(x) は正に大きくなる。また G(1/2)=2−(2+3/21+⋯+n−1/21)≦0 である。したがって G(xn)=0 を満たす xn は 0<xn≦1/2 を満たす。
(3)
(2)で得た式の右辺を Sn=1−xn1+2−xn1+⋯+n−xn1 とおくと,1/xn=Sn である。0<xn≦1/2 より,Hn≦Sn である。またSn=Hn+xn{1(1−xn)1+2(2−xn)1+⋯+n(n−xn)1}であり,k−xn≧k/2 だから,Sn≦Hn+2xn(1+221+⋯+n21)≦Hn+2 である。
(1)より Hn/logn→1 であるから,Sn/logn→1 である。よって xnlogn=Snlogn→1 であり,求める極限は 1 である。