東京工業大学 1989年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期
- 対象
- 全類
- 分野
- 関数、微分、論証・証明
- 解法
- 置換、同値変形、存在証明、一意性証明
- 難易度
- 7 / 10 計算量 5 / 10 目安 25分
問題
関数 f(x) は次の等式f(x+y)=f(x)+f(y)+f(x)f(y)を満たしているとする.関数 f(x) が x=0 で微分可能であるとき,次の問に答えよ.
(1) 関数 f(x) はすべての x の値で微分可能であることを証明せよ.
(2) 関数 f(x) を求めよ.
出典:東京工業大学 1989年度 前期 理系 第3問
方針
まず x=y=0 と y=0 の代入で,f(0)=−1 の定数解と f(0)=0 の場合を分ける。後者では g(x)=1+f(x) とおくと g(x+y)=g(x)g(y),g(0)=1 となる。微分可能性は元の式から差商を (1+f(x))f(h)/h に直して示す。最後に g(x)>0 を確認して logg(x) の加法性と微分可能性から g(x)=eax を導く。
解答
(1)
与えられた等式で x=y=0 とすると f(0)=2f(0)+f(0)2 であるから,f(0)=0 または f(0)=−1 である。
また y=0 とすると f(x)=f(x)+f(0)+f(x)f(0) である。もし f(0)=−1 なら 1+f(x)=0 がすべての x で成り立つので,f(x)=−1 である。この場合はすべての x で微分可能である。
以下 f(0)=0 とする。任意の x と h についてf(x+h)=f(x)+f(h)+f(x)f(h)よりhf(x+h)−f(x)=(1+f(x))hf(h)である。f は 0 で微分可能で,しかも f(0)=0 だから,h→0 とすると右辺は収束する。したがって f は任意の x で微分可能であり,a=f′(0) とおけばf′(x)=a(1+f(x))である。
(2)
すでに f(x)=−1 は解である。以下 f(0)=0 の場合を考える。g(x)=1+f(x) とおくと,条件式は
g(x+y)=g(x)g(y),g(0)=1
となる。また g(x)g(−x)=g(0)=1 であるから g(x)=0 であり,さらに g(x)=g(x/2)2>0 である。
そこで F(x)=logg(x) とおく。上の式から F(x+y)=F(x)+F(y) である。さらに g は微分可能で g′(x)=f′(x)=ag(x) だから,F も微分可能で
F′(x)=g(x)g′(x)=a
である。よって F(x)=ax となり,g(x)=eax である。したがってf(x)=eax−1である。ただし a は任意の実数である。これらの関数はいずれも与えられた等式と x=0 での微分可能性を満たす。
以上より,求める関数は f(x)=−1,または任意の実数定数 a を用いて f(x)=eax−1 と表される関数である。