大阪大学 2026年度
理系数学 第4問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 微分、積分、関数
- 解法
- 不等式評価、はさみうち、置換積分
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 22分
問題
実数xに対してf(x)=e−xcosxとする.ただし,eは自然対数の底である.
(1) 0≦x≦2πのとき,不等式1−x≦f(x)≦1が成り立つことを示せ.
(2) 0<a≦2πをみたす実数aに対して
I(a)=∫0ax2+a2(x+a)f(x)dx
とするとき,a→+0limI(a)を求めよ.
出典:大阪大学 2026年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第4問
方針
(1) は上からの評価を f′(x)≦0 による単調性で示し,下からの評価を g(x)=f(x)−(1−x) の増加性で示す。g′(x)≧0 は,ex≧cosx+sinx をさらに導関数で確認するとよい。(2) は x=au と置換して積分区間を [0,1] に固定し,(1) の 1−au≦f(au)≦1 で積分全体をはさむ。最後の ∫011/(1+u2)du は u=tanθ で評価する。
解答
(1)
f(x)=e−xcosx より f′(x)=−e−x(cosx+sinx) である。0≦x≦π/2 では cosx≧0,sinx≧0 だから f′(x)≦0 である。したがって f(x) はこの区間で減少し,f(x)≦f(0)=1 を得る。
次に下からの評価を示す。 g(x)=f(x)−(1−x) とおくと g′(x)=1−e−x(cosx+sinx) である。ここで h(x)=ex−(cosx+sinx) とおく。すると h′(x)=ex+sinx−cosx であり,さらに h′′(x)=ex+cosx+sinx>0 である。h′(0)=1+0−1=0 だから,0≦x≦π/2 で h′(x)≧0 である。よって h(x) は増加し,h(0)=1−(1+0)=0 なので h(x)=ex−(cosx+sinx)≧0 である。したがって e−x(cosx+sinx)≦1 となり,g′(x)=1−e−x(cosx+sinx)≧0 を得る。よって g(x) は増加し,g(0)=0 であるから g(x)≧0 すなわち f(x)≧1−x である。以上より 1−x≦f(x)≦1 が成り立つ。
(2)
x=au と置換する。0<a≦π/2 であり,x=0 から x=a まで動くとき u=0 から u=1 まで動く。dx=adu だから
I(a)=∫01a2u2+a2(au+a)f(au)adu=∫01u2+1(u+1)f(au)du
である。 0≦u≦1 のとき 0≦au≦a≦π/2 であるから,(1)より 1−au≦f(au)≦1 である。また (u+1)/(u2+1)>0 なので
∫01u2+1u+1du−a∫01u2+1u(u+1)du≦I(a)≦∫01u2+1u+1du
である。右辺と左辺の差は a∫01u2+1u(u+1)du であり,積分部分は有限な定数である。したがって a→+0 のときこの差は 0 に近づく。はさみうちの原理より lima→+0I(a)=∫01u2+1u+1du である。
最後にこの積分を計算する。
∫01u2+1udu=21log(u2+1)01=21log2
である。また u=tanθ とおくと,u=0 のとき θ=0,u=1 のとき θ=π/4 であり,∫01u2+11du=∫0π/41dθ=4π である。よって a→+0limI(a)=21log2+4π である。