大阪大学 2020年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 三角関数、論証・証明
- 解法
- 三角比の利用、数学的帰納法、不等式評価
- 難易度
- 5 / 10 計算量 4 / 10 目安 —
問題
nを2以上の自然数とする.三角形ABCにおいて,辺ABの長さをc,辺CAの長さをbで表す.∠ACB=n∠ABCであるとき,c<nbを示せ.
出典:大阪大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
方針
正弦定理により c/b=sinC/sinB=sin(nB)/sinB とする。あとは 0<B かつ nB=C<π という角の範囲で、sin(nB)<nsinB を示せばよい。主解では加法定理を使って sinkB<ksinB を帰納的に示し、厳密な不等号が出る条件も確認する。別解として、sinx/x が 0<x<π で減少することから一気に辺の比を評価する方法も示す。
解答
三角形ABCで、辺 AB=c は角Cの対辺、辺 CA=b は角Bの対辺である。正弦定理より bc=sinBsinC=sinBsin(nB) である。したがって sin(nB)<nsinB を示せば十分である。
まず、n≧2 かつ C=nB は三角形の内角だから 0<B<nB<π である。特に、1≦k≦n−1 なら 0<kB<π であり、sinkB>0 である。 k=1,2,…,n に対して sin(kB)≦ksinB を考える。k=1 では等号で成り立つ。いま 1≦k≦n−1 で sin(kB)≦ksinB が成り立つとする。加法定理より
sin((k+1)B)=sin(kB)cosB+cos(kB)sinB<sin(kB)+sinB≦ksinB+sinB=(k+1)sinB
である。ここで、sin(kB)>0 かつ B>0 なので cosB<1 であり、さらに cos(kB)≦1 を用いた。
よって k≧2 では sin(kB)<ksinB が成り立つ。特に k=n として sin(nB)<nsinB である。したがって bc=sinBsin(nB)<n となり、b>0 より c<nb を得る。
別解。
関数 h(x)=xsinx(0<x<π) を考える。微分すると h′(x)=x2xcosx−sinx である。分子を q(x)=xcosx−sinx とおくと q′(x)=cosx−xsinx−cosx=−xsinx<0 であり、q(0)=0 と見れば 0<x<π で q(x)<0 である。したがって h′(x)<0 となり、sinx/x は (0,π) で減少する。 0<B<nB<π だから nBsin(nB)<BsinB である。両辺に n を掛けて sinBsin(nB)<n を得るので、正弦定理から同じく c<nb が従う。