問題
立方体と球があって,両者の体積は等しいとする.このとき,次の問いに答えよ.ただし,円周率はである.
(1) 立方体と球を動かして,立方体のなるべく多くの頂点が球の内部に含まれるようにしたい.最大何個の頂点が含まれるようにできるか.
(2) 立方体と球を動かして,立方体のなるべく多くの辺が球の内部と共通の点を持つようにしたい.最大何個の辺が共通の点を持つようにできるか.
方針
立方体の一辺を1に正規化し、等体積条件から球の半径 を求める。 が使うべき大きさの比較である。(1)では隣り合う2頂点は入れられるが、任意の3頂点には距離 以上の2点が含まれるため不可能。(2)では、辺と球の内部が交わる条件を「球の中心からその辺までの距離が より小さい」と言い換える。5本の構成は辺の中点を中心に取ればよい。6本不可能は、球中心を立方体内へ射影し、対称性で として、6本の辺までの距離がすべて 未満になることが矛盾することを示す。
解答
立方体の一辺の長さを1とする。このとき立方体の体積は1である。等体積の球の半径を とすると であるから である。 より である。実際、 は 、すなわち から従い、 は 、すなわち から従う。また である。
(1)
隣り合う2頂点を考え、その中点に球の中心を置けば、2頂点までの距離は である。 なので、この2頂点は球の内部に入る。したがって2個は可能である。
一方、立方体の任意の3頂点を取ると、その中には距離が少なくとも である2点が含まれる。実際、1つの頂点に隣接する頂点は3つしかなく、3頂点をすべて互いに隣接させることはできないので、少なくとも面対角線以上に離れた2点が現れる。
2点間の距離が 以上なら、その2点をともに球の内部に入れるには、球の半径は より大きくなければならない。しかし である。したがって3頂点を球の内部に入れることは不可能である。よって最大個数は である。
(2)
まず5本が可能であることを示す。立方体を と置き、球の中心を辺 の中点 に置く。この辺そのものは球の内部と共通点をもつ。また、この辺の両端から出る他の4本の辺については、中心からその端点までの距離が である。 なので、これら4本の辺も球の内部と共通点をもつ。したがって合計5本は可能である。
次に6本以上は不可能であることを示す。球の中心が立方体の外にある場合、その点を立方体に最も近い点へ座標ごとに射影しても、立方体上の各点までの距離は増えない。したがって、6本の辺と交わる可能性を調べる上では、球の中心が立方体内にあるとしてよい。
さらに立方体の対称性により、球の中心を とし、 としてよい。この点から12本の辺までの距離を考える。2つの固定座標がともに1である辺までの距離は少なくとも である。また、対称性と から、6番目までに小さくなり得る距離の2乗は、次の6つに含まれる。
である。
もし6本の辺が球の内部と共通点をもつなら、中心からそれら6本の辺までの距離はすべて より小さい。 なので、上の6つはすべて より小さくなければならない。
特に かつ である。これらを足すと である。ところが だから となり、 を得る。
一方、上の6つのうち も必要である。左辺は 以上なので であり、 より すなわち となる。これは と矛盾する。
したがって、6本以上の辺が球の内部と共通点をもつことは不可能である。5本は可能で、6本は不可能なので、求める最大本数は である。