問題
, 2つの町がある.毎年1月1日に,町の前年の住民のうち4割が町に,町の前年の住民のうち2割が町に,それぞれ引っ越す(住民の数は十分に多く,引っ越す住民の割合は正確に4割,2割と見なしてよい).それ以外には住民の移動はなく,町,町両方をあわせた住民の数は不変である.次の各問に答えよ.
(1) ある年の末に町と町それぞれに住んでいる住民の数を,とする.1年後に町と町それぞれに住んでいる住民の数,を表す式を
とおくとき,の行列を具体的に示せ.
(2) 以下の式を満足する実数,の値を求めよ.ただしはの単位行列である.
(3) (2)で与えられた式は,とを入れ換えても成り立つ.このことと(2)の結果を用いてを求めよ.ただしは正の整数とする.
(4) 年後に町と町それぞれに住んでいる住民の数をととで表す.このとき,つぎの極限を求めよ.
方針
まず1年後の移動を行列で表し,その行列が満たす二次式を直接計算する。 が分かれば, と を使って を2つの部分に分け,片方は をかけても変わらず,もう片方は毎回 倍される形にできる。最後の極限では を用いる。全人口が一定であることを使う直接解もあり,極限の意味を確認する補助になる。
解答
(1)
1年後, 町に残るのは 町の前年住民の6割であり, 町からは2割が移ってくる。したがって である。よって
である。
(2)
直接計算すると
である。一方
だから である。これは すなわち と書ける。したがって である。
(3)
(2)より であり,問題文の通り と を入れ換えた式も成り立つので である。ここで とおくと, であり,さらに である。したがって となる。すなわち
である。成分を整理すると
である。
(4)
の式より
である。 のとき だから,両町の合計人口 を用いて となる。したがって である。
別解。極限だけなら,合計人口 が一定であることを使ってもよい。 とおくと である。両辺から を引くと となるので,, が直接分かる。これも上の極限 と一致する。