問題
枚のカードがあり,そのうちの1枚にだけ「当たり」の印がついている.ただし,である.最初,甲と乙の2人の前に,この枚のカードが伏せて並べてある.以下の一連の手順により,甲がカードを1枚取得する.ただし,甲は手順が終了して初めてカードの「当たり」の印の有無を見ることができ,それまでは見ることができないものとする.
〔手順〕
〔1〕 甲がカードを1枚取る.
〔2〕 乙が残ったカードを調べ,その中から印のないものを1枚取り除く.
〔3〕 甲は手持ちのカードを,並べてあるカードのうちの1枚と交換してもよい.
〔4〕 乙は〔2〕で取り除いたカードを戻し,戻されたカードがどこにあるか甲にわからないように,カードを並べ替える.
〔5〕 甲は手持ちのカードを,並べてあるカードのうちの1枚と交換してもよい.
次の各問に答えよ.
(1) 〔3〕で甲がカードを交換した場合としなかった場合で,どちらが〔3〕が終了した時点で甲の手持ちのカードが「当たり」である確率が高いか.
(2) 手順の終了時に甲が取得したカードが「当たり」である確率を最も高くするカードの交換の仕方(〔3〕と〔5〕のそれぞれでカードを交換するかどうか)を求めよ.
(3) 手順の終了時に甲が取得したカードが「当たり」である確率を最も低くするカードの交換の仕方を求めよ.
(4) 〔4〕で,乙が戻すカードに,ある一定の確率で「当たり」の印をつけるものとする.このとき,上の問(2)で求められたカードの交換の仕方によって甲が取得したカードが「当たり」である確率を,問(3)で求められたカードの交換の仕方によって取得したカードが「当たり」である確率をとする.となるためのの条件を求めよ.
方針
乙は必ず外れカードを1枚取り除くので、手順〔3〕はモンティ・ホール型の比較になる。〔3〕で交換しない場合の当たり確率は 、交換する場合は最初に外れを取っていた確率と、残った 枚から当たりを選ぶ確率の積で求める。〔5〕では、手順〔4〕で外れカードが戻されて残りが 枚に戻るため、現在手持ちが外れである場合だけ交換で当たりを引ける。(4)では戻されたカードが新たに当たりになる可能性を、現在の手持ちが当たりの場合と外れの場合に分けて数える。
解答
(1)
〔3〕で交換しない場合、甲の手持ちが当たりである確率は、最初に当たりを取っていた確率のままなので である。
一方、〔3〕で交換する場合を考える。最初に甲が外れを取っていた確率は である。このとき、乙は残ったカードの中から外れを1枚取り除くので、並べてあるカードは 枚になり、その中に当たりが1枚含まれる。甲がその中から1枚と交換するとき、当たりを取る確率は である。したがって交換した場合の当たり確率は である。 だから、〔3〕では交換した方が当たりである確率が高い。
(2)
〔3〕で交換した後の当たり確率を とおく。これは(1)より より大きい。
この状態で〔5〕でも交換すると、現在の手持ちが当たりである場合は交換によって外れになる。現在の手持ちが外れである場合だけ、並べてある 枚の中の当たりを選べばよい。したがって〔5〕で交換した後の当たり確率は である。これと を比べると である。よって、〔3〕で交換した後に〔5〕でさらに交換するのは不利である。
また、〔3〕で交換しない場合は当たり確率が であり、〔5〕で交換しても、最初の手持ちが外れだった場合に残り 枚から当たりを選ぶだけなので確率はやはり である。したがって最も高くする方法は である。
(3)
(2)で見たように、〔3〕で交換しない場合は、〔5〕で交換してもしなくても当たり確率は である。一方、〔3〕で交換し、さらに〔5〕でも交換する場合の当たり確率は である。これは より より小さい。
したがって、手順の終了時に当たりである確率を最も低くするには とすればよい。
(4)
問(2)の方法では〔5〕で交換しないので、〔4〕で戻されたカードに新たな印がついても甲の手持ちには影響しない。したがって である。
問(3)の方法では〔3〕で交換し、〔5〕でも交換する。〔3〕後に甲の手持ちが当たりである確率は 、外れである確率は である。
もし手持ちが当たりであるなら、並べてあるカードの中に本来の当たりはない。ただし、〔4〕で戻されたカードに確率 で印がつくので、〔5〕で交換して当たりを得る確率は である。
もし手持ちが外れであるなら、並べてあるカードの中には本来の当たりが1枚ある。さらに、戻されたカードに確率 で印がつく。したがって、〔5〕で選ぶカードが当たりである確率は である。
よって である。 は と同値である。整理すると であり、 を代入して である。したがって条件は である。