名古屋大学 2000年度
後期・理系数学 後期第2問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 複素数平面、数列
- 解法
- 回転・拡大、漸化式の変形、範囲評価
- 難易度
- 7 / 10 計算量 7 / 10 目安 —
問題
n=0,1,2,⋯⋯に対して,複素数znから新しい複素数zn+1をつぎのように定義する.
zn+1=(cosα+isinα)(zn+Ezn)
ここで,zは複素数znに共役な複素数を表し,実数E,αはそれぞれE>1,0<α<πとする.
複素数z0の絶対値が1であるとして,つぎの問に答えよ.
(1) z1がz0の実数倍になるようなz0が存在することを示せ.
(2) (1)の条件を満たすどのz0に対しても,n→∞lim∣zn∣=0となるEの範囲をαで表せ.
出典:名古屋大学 2000年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期第2問
方針
∣z0∣=1 なので z0=eiϕ とおく。z1 が z0 の実数倍になる条件は、ある実数 λ で z1=λz0 と書けること、すなわち 1+Ee−2iϕ=λe−iα である。これは中心 1、半径 E の円と原点を通る直線の交点の存在で示せる。(2)では可能な倍率 λ の2根がすべて ∣λ∣<1 である条件を、2次方程式 ∣λe−iα−1∣=E から求める。
解答
(1)
∣z0∣=1 なので z0=eiϕ とおく。すると z0=e−iϕ であり、
z1=eiα(eiϕ+Ee−iϕ)=eiϕeiα(1+Ee−2iϕ)
である。z1 が z0 の実数倍であるとは、ある実数 λ に対して z1=λz0 となることである。上の式から、これは eiα(1+Ee−2iϕ)=λ すなわち 1+Ee−2iϕ=λe−iα と同値である。
左辺 1+Ee−2iϕ は、ϕ が動くと中心 1、半径 E の円周を動く。E>1 なので、この円は原点を内部に含む。したがって原点を通り偏角 −α の方向をもつ直線とこの円は2点で交わる。交点に対応する ϕ を取れば、上の等式を満たす実数 λ が存在する。よってそのような z0 は存在する。
(2)
(1)の条件を満たす z0 について z1=λz0 と書ける。λ は実数である。このとき zn+1=eiα(zn+Ezn) において、もし zn=λnz0 なら λ が実数であることから zn+1=λneiα(z0+Ez0)=λn+1z0 となる。したがって zn=λnz0 である。よって ∣zn∣→0 となるための必要十分条件は、(1)で可能なすべての λ について ∣λ∣<1 である。 λ は 1+Ee−2iϕ=λe−iα を満たすので ∣λe−iα−1∣=E である。これを2乗すると (λcosα−1)2+(λsinα)2=E2 より λ2−2λcosα+1=E2 である。したがって可能な λ は λ=cosα±E2−sin2α の2つである。
この2つがともに絶対値 1 未満であるためには −1<cosα−E2−sin2α かつ cosα+E2−sin2α<1 である。すなわち E2−sin2α<1−∣cosα∣ が必要十分である。両辺は正でなければならないので、特に ∣cosα∣<1 である。両辺を2乗して E2−sin2α<(1−∣cosα∣)2 となる。sin2α=1−cos2α を用いて整理すると E2<2(1−∣cosα∣) である。
もともと E>1 であるから、求める範囲は 1<E<2(1−∣cosα∣) である。ただしこの範囲が空でないためには ∣cosα∣<21 が必要である。∣cosα∣≧1/2 のときは条件を満たす E>1 は存在しない。