問題
実数,,に対して,行列
を考える。が対角行列,すなわちの形の行列であるとする。
(1) 命題「」を証明せよ。
以下(2),(3),(4)では,さらにかつであるとする。ただし,は単位行列を表す。
(2) を示せ。
(3) とをそれぞれの式で表せ。
(4) ,,が整数のとき,行列を求めよ。
出典:九州大学 2013年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第5問
方針
まず の非対角成分を計算し、共通因子 が出ることを使って(1)を示す。(2)は(1)の対偶的な使い方で、もしその因子が0でなければ となり、 から になって矛盾する。(3)では と、跡が0の形の行列 について となることを使い、 から を導く。
解答
(1)
計算すると、 の 成分と 成分はそれぞれ である。 が対角行列であるから、これらはいずれも0である。
ここで なら、共通因子 は0でない。したがって である。よって であり、
である。これで(1)が示された。
(2)
もし なら、(1)より である。ところが なので である。 より となり、実数 について である。したがって となる。これは条件 に反する。よって である。
(3)
(2)より である。一方、
について直接計算すると である。 かつ なので、実数倍の単位行列 は でなければならない。したがって である。 を代入すると であり、整理して となる。よって である。ここで だと となり不可能なので、 である。したがって であり、 である。
(4)
が整数であるとする。(3)の より、整数 は3を割り切る。したがって である。さらに が整数でなければならない。 では のため整数にならない。 では であり、 では である。
よって求める行列は
または
である。