九州大学 2009年度
後期・理系数学 後期 第5問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 積分、論証・証明
- 解法
- 不等式評価、定積分評価、存在証明
- 難易度
- 7 / 10 計算量 5 / 10 目安 25分
問題
f(x)をx≧0で定義された連続な関数とし,a,bを正の定数とする。このとき,f(x)がx≧0で
0≦f(x)≦a+b∫0xf(t)dt
の関係を満たすものとする。以下の問いに答えよ。
(1) g(x)=∫0xf(t)dtとするとき,
dxd{g(x)e−bx}≦ae−bx
が成立することを示せ。
(2) f(x)≦aebxが成立することを示せ。
(3) F(x)はxについて連続な関数で,任意の二つの実数α,βに対して,次の関係を満たすものとする。
∣F(α)−F(β)∣≦∣α−β∣
さらに,x≧0で定義された二つの連続な関数y(x)とz(x)は次の関係式を満たすものとする。
y(x)=∫0xF(y(t))dt,z(x)=∫0xF(z(t))dt
このとき,h(x)=∣y(x)−z(x)∣とおけば,
h(x)≦∫0xh(t)dt
が成立することを示せ。
(4) x≧0でy(x)=z(x)であることを証明せよ。
出典:九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第5問
方針
(1)(2)はg(x)=∫0xf(t)dtと置き,仮定をg′(x)≦a+bg(x)に変える。e−bxを掛けると左辺が積の微分になるので,積分してgを評価し,元の仮定へ戻してfを評価する。(3)はyとzの差を積分表示し,Fの条件から絶対値を積分で押さえる。(4)は(2)と同じ不等式評価をhに適用し,h≧0と合わせてh=0を示す。
解答
(1)
g(x)=∫0xf(t)dt とおくと,fは連続なので g′(x)=f(x) である。仮定 0≦f(x)≦a+b∫0xf(t)dt は g′(x)≦a+bg(x) と書ける。したがって g′(x)−bg(x)≦a である。
ここで
dxd{g(x)e−bx}=g′(x)e−bx−bg(x)e−bx={g′(x)−bg(x)}e−bx
だから,e−bx>0より dxd{g(x)e−bx}≦ae−bx が成り立つ。
(2)
(1)の不等式を0からxまで積分する。g(0)=0であるから g(x)e−bx−g(0)≦∫0xae−btdt すなわち g(x)e−bx≦ba(1−e−bx) である。よって g(x)≦ba(ebx−1) となる。
仮定f(x)≦a+bg(x)に戻すと f(x)≦a+b⋅ba(ebx−1)=aebx である。したがって f(x)≦aebx が示された。
(3)
与えられた積分方程式から y(x)−z(x)=∫0x{F(y(t))−F(z(t))}dt である。両辺の絶対値を取ると,三角不等式により ∣y(x)−z(x)∣≦∫0x∣F(y(t))−F(z(t))∣dt である。さらにFの条件 ∣F(α)−F(β)∣≦∣α−β∣ をα=y(t),β=z(t)に適用すると ∣F(y(t))−F(z(t))∣≦∣y(t)−z(t)∣=h(t) である。したがって h(x)=∣y(x)−z(x)∣≦∫0xh(t)dt が成り立つ。
(4)
(3)より 0≦h(x)≦∫0xh(t)dt である。ここで(2)の証明はa=0,b=1の場合にもそのまま成り立つ。実際,f=h,a=0,b=1として同じ議論を用いると h(x)≦0⋅ex=0 となる。一方でh(x)≧0だから h(x)=0 である。よって ∣y(x)−z(x)∣=0 であり,すべてのx≧0で y(x)=z(x) が成り立つ。
補足すると,a=0を直接使うことが気になる場合は,任意のε>0に対して h(x)≦ε+∫0xh(t)dt と見れば(2)からh(x)≦εexが従う。ε→0としても同じ結論を得る。