九州大学 2009年度
後期・理系数学 後期 第2問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 恒等式比較、漸化式の変形、必要十分条件
- 難易度
- 8 / 10 計算量 7 / 10 目安 30分
問題
a,bは実数(ただし,b=0)で,A=(a3b3ba+2b)とする。また,数列{αn},{βn} (n=1,2,3,⋯)を次式により定める。
(α1β1)=(αβ),(αn+1βn+1)=A(αnβn)
以下の問いに答えよ。
(1) 次の関係式を満たす実数p,q,v,wを求めよ。
A(1v)=p(1v),A(1w)=q(1w)
ただし,p=q,v<wとする。
(2) (1)で求めたv,wから,行列Pを次のように定める。
P=(1v1w)
このとき,行列B=P−1APを求めよ。
(3) (2)で定めたPを用いて,数列{sn},{tn} (n=1,2,3,⋯)を次式より定める。
(sntn)=P−1(αnβn)
α=0,β=0のとき,無限級数n=1∑∞sn,n=1∑∞tnがともに収束するためのa,bが満たすべき条件を求めよ。
出典:九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第2問
方針
(1)は指定された形(1,r)TをAに掛け,第一成分を固有倍率として第二成分と比較する。b=0なのでrの二次方程式に落ちる。(2)はPの列が(1)の2方向なので,P−1APは対角行列になる。(3)では(sn,tn)T=P−1(αn,βn)Tに移すと,それぞれ公比a−b,a+3bの等比数列になる。初期成分が0になる例外を含めて,等比級数の収束条件を必要十分に書く。
解答
(1)
実数rに対して
A(1r)=(a+3br3b+(a+2b)r)
である。これがλ(1,r)Tに等しいとすると,第一成分から λ=a+3br である。第二成分について 3b+(a+2b)r=(a+3br)r が必要である。両辺のarを消し,b=0で割ると 3+2r=3r2 である。すなわち 3r2−2r−3=0 であり,解は r=−31,r=3 である。条件v<wより v=−31,w=3 である。
対応する倍率は p=a+3bv=a−b,q=a+3bw=a+3b である。b=0よりp=qも満たされる。したがって p=a−b,q=a+3b である。
(2)
(1)で求めたv,wを用いると
である。Pの第1列はAによってp=a−b倍され,第2列はq=a+3b倍される。したがって
AP=P(a−b00a+3b)
である。両辺に左からP−1を掛ければ
B=P−1AP=(a−b00a+3b)
である。
(3)
まず初期値をs1,t1で表す。Pの逆行列は
P−1=43(331−11)=(4341−4343)
である。したがって
(s1t1)=P−1(αβ)=(43α−3β4α+3β)
である。
また,(2)より
(sn+1tn+1)=P−1A(αnβn)=P−1AP(sntn)=B(sntn)
である。よって sn+1=(a−b)sn,tn+1=(a+3b)tn となり,sn=(a−b)n−1s1,tn=(a+3b)n−1t1 である。
したがって∑snが収束する条件は,初項s1が0であるか,公比a−bの絶対値が1より小さいことである。同様に∑tnについても考える。よって,固定されたα,βに対する必要十分条件は (3α−3β=0 または ∣a−b∣<1) かつ (α+3β=0 または ∣a+3b∣<1) である。
特にs1=0かつt1=0,すなわち 3α−3β=0,α+3β=0 の場合には,条件は −1<a−b<1,−1<a+3b<1 である。