九州大学 2005年度
理系数学 第2問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 漸化式の変形、数学的帰納法、計算整理
- 難易度
- 5 / 10 計算量 5 / 10 目安 18分
問題
行列Aと列ベクトルa,bをA=21(1011),a=(10),b=(01)とし,列ベクトルpn (n=1,2,⋯)をp1=a,pn+1=Apn+b (n=1,2,⋯)で定める.このとき次の問いに答えよ.
(1) p=Ap+bを満たす列ベクトルpを求めよ.
(2) qn=pn−p (n=1,2,⋯)とおく.qn+1とqnの間に成り立つ関係式を求めよ.
(3) n=1,2,⋯に対してAnを求めよ.
(4) pn (n=1,2,⋯)を求めよ.
出典:九州大学 2005年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第2問
方針
まず固定点 p=Ap+b を求める。qn=pn−p と差を取ると、非同次漸化式が qn+1=Aqn という同次形になる。An は上三角行列の累乗で、右上成分が積ごとに1ずつ増えることを帰納法で示す。最後に pn=p+An−1q1 に代入して成分を整理する。
解答
(1)
とおく。条件 p=Ap+b は
(xy)=21(1011)(xy)+(01)
である。成分で書くと
である。第2式より y=2、これを第1式に代入して x=2x+2 となるから x=2 である。したがって
である。
(2)
qn=pn−p であるから、
qn+1=pn+1−p=(Apn+b)−(Ap+b)=A(pn−p)=Aqn
である。したがって qn+1=Aqn が成り立つ。
(3)
A=21(1011)
である。まず n=1 では
A=211(1011)
なので成り立つ。ある n で
An=2n1(10n1)
が成り立つと仮定すると、
An+1=AnA=2n1(10n1)⋅21(1011)=2n+11(10n+11)
である。よって数学的帰納法により
An=2n1(10n1)
である。
(4)
(1) より
であり、p1=(10) だから
である。(2) より qn=An−1q1 なので、(3) を用いて
qn=2n−11(10n−11)(−1−2)=2n−11(−(2n−1)−2)
である。したがって
pn=p+qn=2−2n−12n−12−2n−12
である。
別解。(4) は成分の漸化式からも求められる。pn=(xnyn) とすると yn+1=21yn+1,y1=0 であるから yn=2−2n−12 である。また xn+1=21xn+21yn,x1=1 にこの yn を代入して整理すると、同じく xn=2−2n−12n−1 を得る。固定点を引く主解の方が、2成分を同時に処理できて短い。