九州大学 1988年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 数列、方程式・不等式
- 解法
- 不等式評価、数学的帰納法、はさみうち
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 18分
問題
α,βは定数で,0<α<β<1を満たすとし,f(x)=x+(x−α)(x−β)とする.数列{xn}をx1=αβ,xn=f(xn−1) (n≧2)で定める.
(1) 0<x<αのとき,次の不等式が成り立つことを示せ.
(a) x<f(x)<α
(b) α−xα−f(x)<1+α−β
(2) すべての自然数nに対し,0<xn<αであることを示せ.
(3) n→∞lim(α−xn)=0を示せ.
出典:九州大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
方針
f(x)−x と α−f(x) をどちらも因数分解し、0<x<α<β<1 の符号を使って x<f(x)<α を示す。数列はこの区間が f で保たれることを帰納法で使う。極限は α−xn が一定比率以下で縮むことを示してはさみうちする。別解として、xn が単調増加かつ上に有界であることから極限を置き、方程式 L=f(L) を解く方法も自然である。
解答
【(1)(a)】まず f(x)−x=(x−α)(x−β) である。0<x<α<β より、x−α<0、x−β<0 なので (x−α)(x−β)>0 である。したがって x<f(x) である。
次に f(x)<α を示す。計算すると
α−f(x)=α−x−(x−α)(x−β)=(α−x)−(−(α−x))(−(β−x))=(α−x){1−(β−x)}=(α−x)(1−β+x).
ここで α−x>0 であり、また β<1、x>0 より 1−β+x>0 である。したがって α−f(x)>0 すなわち f(x)<α である。以上より x<f(x)<α が成り立つ。
【(1)(b)】上で得た式から α−xα−f(x)=1−β+x である。x<α なので 1−β+x<1−β+α=1+α−β である。よって α−xα−f(x)<1+α−β が成り立つ。
【(2)】初項は x1=αβ である。0<β<1 だから 0<x1<α である。
いま 0<xn−1<α と仮定する。このとき(1)(a)を x=xn−1 に適用でき、xn−1<f(xn−1)<α である。xn=f(xn−1) だから 0<xn<α となる。よって数学的帰納法により、すべての自然数 n について 0<xn<α である。
【(3)】(2)より、各 n で 0<xn−1<α である。したがって(1)(b)を x=xn−1 に適用すると α−xn−1α−xn<1+α−β である。ここで 0<1+α−β<1 である。左辺の分母は正なので、0<α−xn<(1+α−β)(α−xn−1) を得る。これを繰り返すと 0<α−xn<(1+α−β)n−1(α−x1) である。0<1+α−β<1 より右辺は n→∞ で0に近づく。はさみうちにより limn→∞(α−xn)=0 である。
【別解】(1)(a)と(2)より xn=f(xn−1)>xn−1 であるから、{xn} は単調増加である。また xn<α で上に有界である。したがって xn はある値 L に近づく。
漸化式 xn=f(xn−1) の両辺で極限を考えると、f は多項式なので L=f(L)=L+(L−α)(L−β) である。よって (L−α)(L−β)=0 であり、L=α または L=β である。一方、すべての n で xn<α だから L≦α であり、β>α は不可能である。したがって L=α、すなわち limn→∞(α−xn)=0 である。