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九州大学 1988年度
理系数学 第1問

問題

座標平面において,任意の点を直線 の上へ正射影した点をとする.

(1) を満たす行列を求めよ.

(2) (1)の行列に対して,等式を示せ.

(3) (1)の行列と単位行列の和とすると,自然数に対して,が成り立つことを示せ.

(4) (3)の行列で表される1次変換によって,直線がそれ自身の上へうつされるように,定数を定めよ.

出典:九州大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第1問

方針

直線 の方向ベクトルを とし、点 のその方向への正射影を内積で表す。(2)は行列積を直接計算して、射影を2回行っても同じ点に戻ることを式で確認する。(3)は を使う帰納法で示す。(4)は と平行になる条件を行列式で立て、 の2本だけであることまで示す。

解答

【(1)】直線 の方向ベクトルを とする。点 をこの直線に正射影した点を とすると、 方向のベクトルであり、 である。したがって であり、 となる。よって行列 は、第1行が 、第2行が の行列である。

【(2)】上で得た に対し、任意の点 をまず で移すと、 となり、これは直線 上の点である。この点をもう一度同じ直線に正射影しても点は変わらない。したがって任意の に対し である。よって が成り立つ。

式で確認してもよい。 を第1行が 、第2行が の行列とすると であり、直接計算で となる。ゆえに である。

【(3)】 である。 のとき で成り立つ。

ある自然数 が成り立つと仮定する。このとき、(2)の を用いると

よって数学的帰納法により、すべての自然数 について が成り立つ。

【(4)】直線 がそれ自身の上へ移されるためには、その方向ベクトル が、変換後も同じ直線の方向を向けばよい。すなわち と平行であればよい。

まず だから である。これを成分で書くと である。

このベクトルが と平行である条件は

である。左辺を整理すると

したがって である。 より を得る。

実際、 の直線は射影先の直線そのものであり、 によって方向は変わらない。また の直線は に垂直で、この方向の点は によって原点へ送られるため、 ではやはり同じ直線上に残る。