九州大学 1981年度
理系数学 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列、論証・証明
- 解法
- 漸化式の変形、数学的帰納法、誘導利用
- 難易度
- 6 / 10 計算量 5 / 10 目安 29分
問題
A=(3243)とし,(anbn)=An(10) (n=1,2,3,⋯)とする.ただし
A2=AA,A3=AA2,⋯⋯,An=AAn−1,⋯⋯
である.次の(1),(2),(3),(4)に答えよ.
(1) an+1をan,bnで表せ.bn+1をan,bnで表せ.
(2) 正の整数nに対して,an>bn>nを証明せよ.
(3) 正の整数nに対して,an2−2bn2=1を証明せよ.
(4) n→∞limbnanの値を求めよ.
出典:九州大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第3問
方針
行列の積から an,bn の漸化式を読む。(2) は n=1 を確認してから、an+1−bn+1=an+bn>0 と bn+1>n+1 を示す帰納法で進める。(3) は保存される式を漸化式へ直接代入して確認する。(4) は bn→∞ と an2−2bn2=1 を組み合わせる。
解答
(1)
(an+1bn+1)=(3243)(anbn)
であるから an+1=3an+4bn,bn+1=2an+3bn である。
(2)
n=1 のとき
(a1b1)=(32)
であり、a1>b1>1 が成り立つ。 an>bn>n と仮定する。このとき an+1−bn+1=(3an+4bn)−(2an+3bn)=an+bn>0 であるから an+1>bn+1 である。また bn+1=2an+3bn>2n+3n=5n であり、n≧1 だから 5n>n+1 である。したがって bn+1>n+1 である。以上より an+1>bn+1>n+1 が成り立つ。数学的帰納法により、すべての正の整数 n について an>bn>n である。
(3)
n=1 のとき a12−2b12=32−2⋅22=1 である。さらに漸化式を用いて計算すると
an+12−2bn+12=(3an+4bn)2−2(2an+3bn)2=9an2+24anbn+16bn2−8an2−24anbn−18bn2=an2−2bn2
である。したがって an2−2bn2=1 ならば an+12−2bn+12=1 である。数学的帰納法により an2−2bn2=1 がすべての正の整数 n で成り立つ。
(4)
(2) より bn>n であるから、n→∞ のとき bn→∞ である。(3) より (bnan)2−2=bn21 であるから、右辺は 0 に近づく。したがって (bnan)2→2 である。さらに an>bn>0 より an/bn>0 なので limn→∞bnan=2 である。
別解。
(4) は (3) を (bnan)2=2+bn21 と見るだけでよい。(2) によって bn が限りなく大きくなることが保証されるため、比の2乗は 2 に近づく。正の比であることから、極限は負ではなく 2 である。