問題
を1以上の整数とするとき,次の2つの命題はそれぞれ正しいか.正しいときは証明し,正しくないときはその理由を述べよ.
命題:あるに対して,とは共に有理数である.
命題:すべてのに対して,は無理数である.
方針
命題 は,整数の平方根が有理数ならその整数は平方数であることを使い,連続する2つの正整数がともに平方数になるかを調べる。差が1の正の平方数は と しかないため, では存在しない。命題 は差が有理数だと仮定し,その逆数を有理化して和 も有理数になることを示す。和と差が有理数なら2つの平方根がともに有理数となり,命題 の否定事実と矛盾する。
解答
まず命題 を調べる。 が有理数で, が整数であるとき, は平方数である。したがって, と がともに有理数なら,ある整数 を用いて と表せる。ただし なので である。このとき すなわち である。しかし なら であり,積が1になることはない。よってそのような は存在しない。したがって命題 は正しくない。
次に命題 を調べる。ある について が有理数であると仮定する。この は正であるから, も有理数である。ところが である。したがって がともに有理数である。
この2式を足し引きすると
および
も有理数になる。これは,命題 の検討で示した「 では と がともに有理数になることはない」という事実に反する。
よってすべての について は無理数である。したがって命題 は正しい。
別解。命題 は,命題 を経由せずに直接示すこともできる。 が有理数であると仮定して両辺を2乗すると である。左辺と は有理数だから, も有理数である。すると整数 は平方数である。
しかし と は互いに素である。互いに素な2整数の積が平方数なら,それぞれが平方数でなければならない。したがって と がともに平方数になるが,これは上で示した通り では不可能である。ゆえに は無理数である。