北海道大学 2014年度
理系数学 前期 第3問
- 試験区分
- 前期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 行列(問題が明示的に行列を扱う場合、または出題範囲が許す場合のみ)、数列
- 解法
- 漸化式の変形、式変形、数学的帰納法
- 難易度
- 7 / 10 計算量 6 / 10 目安 24分
問題
逆行列をもつ2次の正方行列,A1,A2,A3,⋯が,関係式
An+1An=An+2E(n=1,2,3,⋯)
をみたすとする。さらにA1+Eは逆行列をもつとする。ここでEは2次の単位行列とする。
(1) すべての自然数nに対してAn+Eは逆行列をもち,
(An+1+E)−1=21An(An+E)−1
が成立することを示せ。
(2) Bn=(2E−An)(An+E)−1により,行列Bnを定める。Bn+1とBnとの間に成立する関係式を求め,BnをB1とnを用いて表せ。
出典:北海道大学 2014年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第3問
方針
与式は An が逆行列を持つことを利用して An+1=E+2An−1 と変形する。(1) はここから An+1+E=2An−1(An+E) を作り、An+E の可逆性を帰納法で示す。逆行列の式では、An と An+E が可換であるため逆行列とも順序を入れ替えられることを明記する。(2) は An+1 と (1) の逆行列表示を Bn+1 に代入し、Bn+1=−21Bn という等比型の関係へ落とす。
解答
(1)
問題の関係式は An+1An=An+2E である。An は逆行列を持つので、右から An−1 をかけると An+1=E+2An−1 である。したがって
An+1+E=2E+2An−1=2(E+An−1)=2An−1(An+E)
である。
仮定より A1+E は逆行列を持つ。いま An+E が逆行列を持つとすると、An−1 も逆行列を持つので、積 2An−1(An+E) も逆行列を持つ。よって上の式から An+1+E も逆行列を持つ。数学的帰納法により、すべての自然数 n について An+E は逆行列を持つ。
さらに An+1+E=2An−1(An+E) の両辺の逆行列をとると、積の逆行列の順序に注意して (An+1+E)−1=21(An+E)−1An である。ここで An と An+E は可換である。したがって An は (An+E)−1 とも可換であり (An+E)−1An=An(An+E)−1 である。よって (An+1+E)−1=21An(An+E)−1 が成り立つ。
(2)
Bn=(2E−An)(An+E)−1 である。まず An+1=E+2An−1 より 2E−An+1=E−2An−1 である。また (1) より (An+1+E)−1=21An(An+E)−1 である。したがって
Bn+1=(2E−An+1)(An+1+E)−1=(E−2An−1)⋅21An(An+E)−1=21(An−2E)(An+E)−1=−21(2E−An)(An+E)−1=−21Bn
である。
よって Bn+1=−21Bn が成り立つ。これを繰り返すと B2=−21B1,B3=(−21)2B1,… となるので、一般に Bn=(−21)n−1B1 である。