北海道大学 2012年度
後期・理系数学 後期 第4問
- 試験区分
- 後期日程 第2次学力試験
- 対象
- 理系
- 分野
- 指数・対数、方程式・不等式
- 解法
- 不等式評価、はさみうち、範囲評価
- 難易度
- 7 / 10 計算量 6 / 10 目安 —
問題
次の問に答えよ。
(1) x≦0のとき,1+x≦ex≦1+x+2x2であることを示せ。
(2) nを自然数とする。正の数aがa10n=21を満たすとき,不等式
e−0.70×10−n<a<e−0.69×10−n
を示せ。必要ならば,2の自然対数log2が0.69<log2<0.70を満たすことを用いてもよい。
(3) (2)で与えたaについて,不等式
0.9⋯93<a<0.9⋯94
を示せ。ここで,0.9⋯93は,小数点以下に9がn個続き,その次に3が現れる小数である。
出典:北海道大学 2012年度 後期日程 第2次学力試験 後期・理系 後期 第4問
方針
(1)は ex を上下から評価する補助関数を作り、x≦0 での微分の符号を追う。(2)は a10n=1/2 の両辺の対数を取り、0.69<log2<0.70 から loga の範囲を得て指数関数の単調性で戻す。(3)は h=10−n と置き、(1)を −0.70h、−0.69h に適用して、1−0.70h<a<1−0.60h を示す。これを小数点以下に9が続く表記へ読み替える。
解答
(1)
まず h(x)=ex−1−x とおく。x≦0 では h′(x)=ex−1≦0 である。h(0)=0 であり、h は (−∞,0] で減少しながら0に至るので、x≦0 で h(x)≧0 である。したがって 1+x≦ex である。
次に k(x)=1+x+2x2−ex とおく。すると k′′(x)=1−ex≧0(x≦0) である。よって k′(x) は (−∞,0] で増加し、k′(0)=0 だから x≦0 で k′(x)≦0 である。さらに k(0)=0 なので、x≦0 で k(x)≧0 である。したがって ex≦1+x+2x2 である。
以上より 1+x≦ex≦1+x+2x2(x≦0) が示された。
(2)
a10n=1/2 で a>0 だから、両辺の自然対数を取ると 10nloga=−log2 である。したがって loga=−(log2)10−n である。 0.69<log2<0.70 より、負号を付けると不等号の向きが反転して −0.70<−log2<−0.69 である。よって −0.70×10−n<loga<−0.69×10−n である。指数関数は増加関数なので e−0.70×10−n<a<e−0.69×10−n を得る。
(3)
h=10−n とおく。n は自然数なので 0<h≦1/10 である。
(2)より e−0.70h<a<e−0.69h である。(1)の左側の不等式を x=−0.70h に用いると e−0.70h≧1−0.70h であり、実際には h>0 なので e−0.70h>1−0.70h である。したがって a>1−0.70h である。
また、(1)の右側の不等式を x=−0.69h に用いると e−0.69h≦1−0.69h+2(0.69)2h2 である。ここで h≦1/10 より 2(0.69)2h2<0.09h であるから e−0.69h<1−0.60h である。したがって a<1−0.60h である。
以上より 1−0.70×10−n<a<1−0.60×10−n である。ここで
1−0.70×10−n=1−7×10−(n+1)=0.n個99⋯93
であり、
1−0.60×10−n=1−6×10−(n+1)=0.n個99⋯94
である。したがって 0.9⋯93<a<0.9⋯94 が示された。